小さな学習塾「わたる」~子ども達の自立と向き合う~

ADHDやLD、自閉症スペクトラム、アスペルガー等、生来より何らかの学びづらさを持つ子ども達の学習・生活支援を行う小さな学び舎「わたる」。その塾を経営するきつねが日々のことをぽつぽつ呟くブログです。

消しゴムのカス、どうしてる?

男子、女子でくくるのもどうかと思うのですが、小学校の男の子なら「練り消し」!これを作る子が結構いるのではないかと思うのですね。
あ、タイトルにある「消しゴムのカスをどうしているか」についてなのですが。


「何か」を作る子もいるかもしれませんが、大抵はパチンコ玉くらいの小さな玉にして筆箱にいくつか忍ばせ、授業中にそれらを指で弾いて飛ばし、ひんしゅくを買う…というのが、小学校時代の私がよく見る光景でした(そして当然、先生に叱られる)。
で、今はどうかなぁ、もうそういう子もいないのかなぁと思っていましたが、大人になってからも仕事で小中学校をよく訪れていた際、割と高頻度で「授業中」に練り消し作って遊んでいる子を見つけられたので、「今も昔も変わらないことって結構あるんだな」と感心したものです。←感心して良いのか??


ところで先日、「わたる」で勉強を終えた子が、自分が出した消しゴムのカスを丁寧に集めて手のひらにのせ、きちんとゴミ箱へ捨てる姿を見て、思わず、「何てえらいの!」と感嘆の声をあげてしまったのですね。


そうしたら、その子は割と「不本意」というか、「何故そんなことでいちいち誉められるのか?」といった様子で、「当たり前のことでしょう」と。そう言ったのですね。
そうなんですよ!当たり前なんですよ!!当たり前ですよね、自分で出したゴミですし、机の上にカスを残したままなんてダメです。ゴミはゴミ箱へ捨てなければ。
……しかし私自身、そのような常識はすっかりと忘れ去っておりました(ヲイ)。
いや、私は自分で出した消しゴムのカスは集めて捨てます。特に「わたる」では。以前からこちらにも書いておりますように、「わたる」を常に綺麗な状態に保つことは私の趣味ですので、少しでも汚れたりゴミが落ちていると、もう気になって仕方ない、さっさと除菌シートを取り出して拭いたり、ほうきで掃いたり。掃除にぬかりはありません!ですから、消しゴムのカスももってのほか!使ってカスが出たら当然、捨てます。


ですがそうして自分がごく自然にやっていたことを、ここへ通ってきて下さる生徒さんに伝えていたかというと……全然、伝えていませんでした。机の上に消しゴムのカスを出したら捨てようねって、そんな当たり前の一言をかけ「忘れていた」のです…。
何と言いますか、ここへはただでさえ苦手な勉強をしに来ているし、80分よく頑張ったね!という気持ちが強いせいか、あまりそれ以外のことで煩く言いたくないという自分の気持ちが働いていたのかなと。そして、「どうせ自分で掃除するからいいや」と思っていたのかなぁと。


けれども、当然のようにそれをやっている子を見た時、「何て気持ちが良いの!何て素敵なの、そのさりげなさ!」と本当に感動してしまって、心からの賛辞を送ってしまい(嫌がられたけど・笑)、こういう「当たり前のこと」をさらっとやれる人になることもとても大切なことだし、それこそ「わたる」で伝えていかなくてはいけないことだった、ここは学習塾で学習をするところだけれど、そういうことだって「学習」じゃないか!と。何を基本の基本を忘れていたのだろう!と深く反省しまして…(笑)。


それで早速、先週、消しゴムのカスをさっさっと「当然のように」机の下に落とした生徒さんにキラン!と目を光らせた私はすぐさま言いました。


「今までそのことを何も言わなかった私が悪かった。消しゴムのカスは下に落とさないで、きちんと集めて、自分でゴミ箱に捨てておくれ」
「え?そんなこと、今までやったことないよ?」
「学校でも?」
「学校でも。みんな下に落としてるし。どうせ後で掃除するし」
「先生は?」
「先生も何も言わない。多分、何とも思ってないよ」
「……しかし良いこととは思っていないはずだよ。今度先生に訊いてみてよ」


いろいろな(小中)学校を見学してきた中での実感として、消しゴムのカスを机の下にさらっと落とす生徒さんは多いと思います。どうせ掃除するから……確かにそうかもしれない。でも多分、というか絶対、先生方は、「どうせ後で掃除するからゴミを下に落としてもいい」などと思っているはずはなく、恐らくは「忙しいから、そのことに言及する心の余裕がない」のではないか……と思いました。もちろん、中にはいらっしゃると思うんです、はじめの段階で、消しゴムのカスは授業ごとに集めて自分で捨てるようにって前振りをきちんとされる先生が!私も、小学校の時の先生に何度も言い含められてきたからこそ、それを今は「当たり前」のこととして「ごく自然」に、「何の苦痛もなく」できるのです。「わたる」に来て、それをスマートにやってくれた生徒さんもそうでしょう。誰かが教えてあげなければ、それは決して「当たり前」のことにはならない。どこかで誰かに教わったはずなのです。だからそれが「当たり前」のことになった。


「今までやったことがないなら、なおさら、これからは是非やって」


お願いすると、え~めんど~となりながらも、その子は消しゴムのカスをゴミ箱に捨ててくれました。本当に些細なことなのですが、私はその姿を見て「ものすごく」嬉しく感じました。そして、「これからも気づいたら言うから!」と嬉々として宣言したのでした。


その後も折に触れ、消しゴムのカスが机に残っていると、生徒さんに声をかけて自分で捨ててもらっています。これからも小さなことにも目を向けて、その都度、的確な声かけができるように心がけたいと思います。


×

非ログインユーザーとして返信する