小さな学習塾「わたる」~子ども達の自立と向き合う~

ADHDやLD、自閉症スペクトラム、アスペルガー等、生来より何らかの学びづらさを持つ子ども達の学習・生活支援を行う小さな学び舎「わたる」。その塾を経営するきつねが日々のことをぽつぽつ呟くブログです。

はじめに

はじめまして、ご来訪ありがとうございます。当ブログは、小さな学習塾「わたる」の室長である〝きつねのごん〟なる者が書いています。室長は子どもの頃から学校が大の苦手で、要領も悪く、ひとりの部屋で黙々と漫画を読んだり、ゲームをするのが好きな人見知りでした。後から知ったのですが、学生時代、毎日いやいや登校する室長の悲壮な背中を見送っていた両親は、「いつか自殺するんじゃないか」と心配していたそうです。


そんな室長が大学卒業後、通信制サポート校の先生となったものですから、周囲は驚きました。あの学校嫌いが先生になっちゃったよ!と。しかし室長はそこで「私の方がレベルが高い」「いや私が」と学校嫌いを競い合える生徒たちとたくさん出会いました。そして、当時は「発達障害」という言葉も耳慣れないながら、根深い学習不振や、人間関係がうまく結べず悩む子ども達の困り感と直面し続けることで、これに対処するためにはもっと専門的な学びが必要だと、子ども達に勉強を教える仕事は続けつつ、40歳の手前で大学院へ入り直して臨床心理学、とりわけ子どもの学習不振やアンガーマネジメント、ストレス等について勉強しました(他にもその間にいろいろな教育関係の仕事をしていますが、それについては追々書いていきたいと思います)。


そしてこのたび、神奈川県の相模原市というところで、それを形にした小さな学習塾を開きました。このブログでは塾のことも書きますが、子育てに悩む親御さんや、学校での児童・生徒さん対応に悩む学校の先生などが読んで役立ったり、楽しくなるような内容にできたらいいなとも思っています。どうぞよろしくお願いいたします。


※追記※最新記事はトップに来ない仕様にしているので、新しい記事は右側の「新着ブログ記事」をクリックしてお読み下さい。また、記事中は検索の関係上「発達障がい」に関して敢えて「害」の字を使用しています。ご了承ください。(2019.8.16一部改訂)


営業電話からその他徒然

塾を開くにあたって、当たり前ですが「塾をやってるよ~」ということを広く知っていただくために、「宣伝」をしなければなりません。実は、電話番号を電話帳に登録し終えたその日から、すでにジャンジャン電話が鳴っております。


「そちらの塾に入りたいのですが!」「どのような内容の塾なのですか?」
…というお電話ではなく、
「新規事業者様とのことですが、そちら様は集客についてどのようなお考えをお持ちなのでしょうか?宜しければ、わたくしどもで考案した、新たな集客法をご提案させていただきます!」
…という、ありがたくもお金はかかるという(当たり前)営業のお仕事をされている方からのご連絡です。もう何件来たことでしょう…途中で数えるのをやめましたが、こういうことを生業にされている会社が本当に多いことだけはよく分かりました。


「今はまだちょっと立て込んでいるので、もう少ししたらまた検討させていただきます」…とお答えすると、
「あ~お忙しいときにお電話してしまいすみません」、「そうですか~ではそのときはよろしくお願いします!」
…等ですぐに電話を切ってくださる方、
「しかし、弊社の集客プランは大体一ヶ月後を見立てて行うものなので、開塾した今やらなければ遅いですよ!」
…とぐいぐい来られる方(絶対頼まない・笑)、営業の方もそれぞれです。どういった対応がいいとか悪いとかは人相手の商売では一概に言えないと思うんですね、やはりお客様ごとに対応は変えていかなければならないでしょうし。同じお客様でも、その日の気持ち・体調によって、長く話せる時とそうできない時もあるでしょうし。


営業と言えば、私もサポート校勤務時代はいわゆる飛び込み営業をやっていました。授業の空き時間や放課後に、中学校や高校を回って、先生方にパンフレットをお渡しし、学校のことを分かってもらい、生徒さんを体験授業等にお誘いする活動です。時には受験生を待ち伏せして(……)帰り道にパンフレットを配るなんてこともしていました。…それって、今受けてきた学校が不合格だったらうちに来てねって意図があるわけで、仕事とは言え、つらいものがありました。高校訪問だって、はっきり言えば、「おたくの学校で持て余している生徒さんがいるならうちに誘導してね」ってことなわけで…。仮に、その高校がその生徒さんにとってどうしようもないクズ学校(失礼)だったなら、すっぱり辞めてうちへ来た方が幸せだよって思う一方、退学ってそんなに簡単に決意できることじゃないし、その学校に友人や信頼できる先生が1人でもいるなら、もう少し考えてもいいんじゃないか…そんな風に考えてしまうと、もう営業ではいられません。当然のことながら、そんな性格じゃこの仕事はできないよ!と先輩に叱咤されたこともありますが…。何が言いたいかというと、仕事って何でも大変ですよね(雑な結論)。


余談ですが、これまでたくさんのこども達と接してきて、「将来、会社員になって営業の仕事がやりたい」と言った子に、思い出せる限り2人しか会ったことがありません。小学生は「営業」なんてピンとこないと思うので納得なのですが、私は中高生と接することがとても多かったので、彼らはリアルに「会社員」に良いイメージがないのだな…と感じていました。もしくは、仕事というそれそのものに、ネガティブな想いが強かったのかもしれません。長くなったので、子どもたちの進路選択についてはまた次の機会に書きたいと思います。


塾の名前を考える

塾を開くにあたって、最も頭を悩ませたと言っても過言ではないのが「名前」です。
何でも名前というのは重要です。名前をつけた途端、それそのものに命が宿るとはよく言ったものです。…実際によく言われているかは、本当のところよく知りませんが(え)、名前があり、それを呼ばれる方が心に残りやすいというのは事実でしょう。例えば、人を呼ぶ時に、「ねえ」とか「おい」とか言うよりも、「きつねのごんさん!」と呼ばれた方が、私としても「はい!」と明確に返答し、その呼んでくれた人を認識しやすくなりますから。


それと同様、「あそこの塾が」と呼ばれるより、「わたるが~」と固有名詞で呼ばれた方が親しみが増しませんか。そして、どうせ呼ばれるなら呼びやすく、覚えやすく、丸みのある名前がいいなとは、漠然と思っていました。


しかし当初は「わたる」という名前は全く頭にありませんでした。私のイメージでは、もっと「何となくかっこよく」、「何となく横文字で」(例:某ST○Pさんのように、いかにも成績が上がりそうで、且つ短くて分かりやすいやつ)、「何となく人がたくさん集まりそうな、総画数的にも縁起の良さそうな名前」という想いがありました。…いっそ占い師さんに決めてもらった方がいいんじゃないか?という、実に漠然とした想いですね。


よその学習塾さんの名前もそれはたくさん参考に拝見しましたが、これが皆さん、とてもセンスが良くて格好が良いのですよ。ですからますます、「何か気の利いた美麗な名称を!」「何かないか、何か!」と、図書館でいろいろな本や、無駄に外国語の辞典などを開く日々が続きました。←例えば「うちの塾は、フランス語で~って意味があるんですよ」な~んて言えたら、もう無条件でかっこいいじゃないですか…


前振りが長く恐縮ですが…結局、小さな学習塾「わたる」はご覧の通り、ひらがなの、短い日本語名と相成りました。呼びやすく、丸っこいところだけは当初の希望通りです。
なぜこの名前にしたのか、理由は大きく分けて3つあるのですが、今日はそのうちの1つだけお話します。


「わたる」としたのは、子ども達の「自立」が、この塾を立ち上げた大きなテーマのひとつだからです。これはホームページにも書いたことですが、子ども達には大人になった時に、親元を離れても、どんな世界へも臆せず、楽しく渡って行けるような人になってもらいたいという想いがあります。長く教育現場にいて、親御さんの悩みの多くが子ども達の自立、もっとはっきり言えば就職、そして「私がいなくても立派にやっていけるだろうか」ということではないかとは常々感じていました。私自身、高校生の進路担当をしていたことがあり、生徒たちと就職や進学対策をする中で、「まだこの子達に教えきれていないことがたくさんあるのに、外へ出ろと背中を押さなきゃならないのか」と心配や不安が大きかったので、親御さんの想いはさらにいかばかりかと思ったものです。


だからというのもありますが、「わたる」は高校生は勿論のこと、小学1年生から通える塾にしました。できれば早い段階から、そして長く子ども達と関わることができればという想いからです。…無論、このブログの自己紹介にも記した通り、別に高校3年生まで通わずとも、必要でなくなったら早く飛び立ってくれても良いのですが…(笑)。
でも時には、小さな水たまりだって「わたる」ことには勇気が要りませんか。それどころか、障害物が何もなくても、一歩を踏み出すのは怖いものです(余談ですが私も今この開塾の一歩が恐ろしくてなりません)。


だから一緒に、社会へ「わたる」ための練習ができたらいいな…と思っているわけです。
長くなったので、名前に込めた別の由来については、また別の機会に。