小さな学習塾「わたる」~子ども達の自立と向き合う~

ADHDやLD、自閉症スペクトラム、アスペルガー等、生来より何らかの学びづらさを持つ子ども達の学習・生活支援を行う小さな学び舎「わたる」。その塾を経営するきつねが日々のことをぽつぽつ呟くブログです。

雨の日の思い出

何ともう7月も下旬です。本来ならば、子ども達も楽しい夏休みに突入しているはずですが、今年はどこの学校もお休みが短いそうですし、仮に長期休みであっても、遠くへ遊びに行くということはなかなかできないと思いますので、試練の夏ですね。
こうなったら仕方がない、勉強しよう!!←


今日はとりとめない日記をひとつ…。
ある時、知り合いのお子さんが「明日は幼稚園行きたくない!」と泣いて、お母さんは大変戸惑ったらしいのですが、理由を訊いたら、いつも仲良くしているお友だちに「明日も一緒に遊ぼう」と言ったら、「明日は〇〇ちゃんと遊ぶからダメ」と言われたとのこと。
しかも、「なら私もその遊びに入れて」と言ったら、「ダメ、〇〇ちゃんと2人で遊ぶって決まっているから」と返されたそうで。
遊べないって言われたこともイヤだったけど、どうして3人で遊ぶのじゃダメなの?いじわる!と思ったら、悲しくなった!!とその子は言ったそうです。


……お友だちに「一緒に遊ぼう」と自分から誘えるのもエラければ、一度断られたのに、「その中に入れて」と言えるのもエライ。
さらに言えば、「明日幼稚園に行きたくない」理由を、ここまできちんとお母さんに説明できるのも凄まじくエライ。……と、私は感心しきりだったのですが、当事者としてはそんな称賛はどうでもいいことですよね。


ただただ、辛い。
毎日仲良くしていたお友だちなのに、遊べないって断られるのはショックです。
恐らくこの断ったお子さんに悪気などなく、「明日は」と言っているところから見ても、偶に違う子とも遊びたかったのでしょうし(笑)、翌日にはまた状況も変化するのでは…と、思っていましたら、やはりこの後、2人は再び何事もなかったかのようにしょっちゅう一緒に遊んでいるそうです。
しかし少しの変化があり、この知り合いのお子さんは、大好きなそのお友だちとばかりいるのではなく、ちょいちょい他のお子さんとも遊ぶようになったらしく…。うーむ、何より。今度遊びを断られても、違うお友だちの所へ行ける(笑)。


ところで、塾長ごんは「こういう話」を耳にすると古傷が痛むんです。「こういう話」…下手したらしょっちゅう聞きますし、多分「あるある」ではないかとも思います。年齢関係なくありますよね?仲良くしていたはずなのに、ある日突然避けられる、仲間から外される、ひとりぼっちになってしまう…そんなことが。


今回の事例は、深刻なものではありませんでしたが、それでもこのお子さんにとって、少なくとも「明日は幼稚園へ行きたくない!」と言ったその時はとんでもなく辛くしんどい1日だったはずです。


「仕方ないだろ、人間はそうやって傷つき、傷つけられて、人と人との関係を学んで大きくなっていくんだ!」…とかって思います?
まぁある意味そうなんだとは思うのですが…、ただ、そういう経験をした時のお子さんに大人がどう寄り添うべきか?というのは、考えておいてもいいのかなぁと思います。


ひとつの例を挙げますと、まさに塾長ごん、小学校中学年の頃にちょっとした仲間外れにあいまして。
でもプライドが高かったので(?)、親や先生に「仲間外れにされている」とは口が裂けても言えず、友だちに「何で私を避けるの?」とも訊けず、いわゆる「他のグループ」(当時は仲良しグループがクラス内で幾つか分散していました。今もそうかな?)の方へ行ってそちらとつるむということもできず…。つまりは孤独だったのですが。


当時、自転車に乗ることにハマっていたもので、いかにも「私は用事がある」、いかにも「これから友だちの家へ遊びに行く」テイで、びゅんびゅん自転車を漕ぎまくり、そこらへんを走り回って時間を潰しておりました。
……が、多分そんないつまでも独りでいるのも寂しかったのでしょう。ふと思い立って立ち寄るようになったのが、幼稚園までお世話になっていた知り合いのお宅!(赤の他人です・笑)


幼稚園の頃お世話になっていた所なわけですから、もう大分ご無沙汰でしたし、お宅も近所…というほど近くもなかった。
しかし行った!!
すると、昔そこでよく遊んでくれていたお姉さん(当時短大生だったかと思います)がドアを開け、「あれー久しぶりだねえ、遊びに来てくれたの!?」と笑顔で出迎えてくれたのです。


そこから塾長ごんの調子に乗る人生が始まりました。←
とにかく通った!このお姉さんに会いに!!
行くと温かく出迎えてくれて、お菓子をくれ、一緒にテレビを見たりおしゃべりをしたり、お姉さんは、とにかく私が「帰るね」と言うまで付き合ってくれた。
ちなみに、私はこのお姉さんに学校であった嫌なことを何ひとつ話しませんでしたし、お姉さんも訊かないんですね。普通、何年も会っていなかったちょっと知っているくらいの子が毎日来たら、「どうした?学校で何かあったか?」くらい尋ねませんかね。
通っている方も、「このお姉さんなら、今の私の悲しい気持ちを分かってくれるかも?」とか思い始めて、愚痴のひとつも飛び出しそうなものですが、言わない(笑)。まぁ当時の私の心持ちはよく分かりませんが、言いたくなかったのでしょう。ゴリゴリに固い錠がかけられていたのでしょう。


それでもいやに鮮明に覚えているのが、多分1週間くらい通い続けた雨の日だったと思うのですが(そう、今日のような…)。
雨だと自転車に乗れないので、歩いて行くのは結構な距離だろうに、当時の私は、その日もお姉さんの所へ行ったわけです(どんだけ寂しがり屋なのか・笑)。
そしたらお姉さんがさっと玄関のドアを開けて、「今日も来ると思っていたから、待ってたよ」と言ったんです。
……後から思うに、お姉さんにもいろいろ用事があったと思うのですよ、当時。そりゃそうです、あれだけ毎日、明るい時間から家にいるのはおかしい(笑)。
でも、多分お姉さんは、今のこの子に「うちが必要」と感じて、待っていてくれたのです。


結局最後までお姉さんに「私、仲間外れにあってね…」なんて話はしませんでしたし、お姉さんも訊きもしませんでしたが、それから後、何とな~くまた友だちと遊べるようになり(ナゾだ…)、長いような短いような、お姉さんとの時間は終わりを告げたのでした。


あの時過ごしたことの詳細はほとんど覚えていないのですが、ただ玄関のドアを開けて「待ってたよ」と言ってくれたお姉さんの優しさは忘れないですね。
後にお姉さんは幼稚園の先生になったと風の噂で聞きましたが、塾長が引っ越してその土地を離れてしまったので、それ以降は全くお会いしていません。しかし、お姉さんなら間違いなく、最高で最高の最高過ぎる先生になったことだけは間違いないです(日本語)。
そしてそんなお姉さんのことを、塾長は時々思い出すのでした。


幼稚園で仲間外れにされたお子さんの話と、雨とで、この昔話をふと書きたくなり、書いてみました。
子ども同士の関係に大人はなかなか入っていけませんけれども、子どもがちょっと疲れた時、それこそ「どしゃぶりな気持ち」の時に、そっと軒先を貸してあげられるような大人…というのは、大人になった今でも憧れますね。


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