小さな学習塾「わたる」~子ども達の自立と向き合う~

ADHDやLD、自閉症スペクトラム、アスペルガー等、生来より何らかの学びづらさを持つ子ども達の学習・生活支援を行う小さな学び舎「わたる」。その塾を経営するきつねが日々のことをぽつぽつ呟くブログです。

バムとケロシリーズ

大好きな絵本の紹介です。当然のように「わたる」にも置いています(まだ誰も手に取ってくれていないけれど…笑)。


犬のバムさんとカエルのケロちゃんが、のんびり愉快な森の仲間と休日をまったりと過ごしたり、市場へ買い物に行ったり、時々アクティブに日曜大工したり、飛行機で冒険したり、凍った湖にはまって動けなくなった友だちを助けたりする、そんなお話です。


性別は分からないのですが、多分バムさんもケロちゃんも男の子で、そこに何故「さん」と「ちゃん」の違いをつけるかと言うと、バムさんはとても落ち着いていて大人びている一方、ケロちゃんはちょっぴりワガママでマイペース、騒ぎを起こしてはバムさんに頭を抱えさせるキャラだからです。
でも、明らかにこの正反対の2人には友情が成立していて(親子みたいだけど)、お互いがいるから毎日楽しい!というのがよく分かります。そして、当たり前ですが絵本は無音の世界であり、この物語自体、(主に)静かな森の中でのお話なので、一見「音」とは無縁の印象があるのですが、一人静かな部屋でこの絵本を開くと、「ぽかぽか」した日だまりを感じたり、早朝「ひよひよ」という鳥のさえずりが聞こえたり…。何と言いますか、「可愛らしい擬音」がどこからともかく聞こえてくるというか、感じられる、そんな素敵な絵本なのです。


何を言っているのだこの人は…と思われるかもしれませんが(笑)、さらにこの絵本の素晴らしいところは、「自分も絵を描きたい」と思わせるところです。
動物たちのキャラクターがそれぞれ可愛らしいというのもあるのですが、何と言っても、小物が光っております。随所に描かれる家具・食べ物、大きな物では家や車、飛行機などもそうなのですが、色鮮やかでキュートで、それを見ているだけでも飽きません。そしてそのうち、自分も描いてみたい!となる。


以前、私が学習指導を担当した小学校低学年の男の子が、夏休みの読書感想文の宿題として、課題図書にこのバムケロシリーズを「書きたいけど書けない」と持ってきたことがありまして。
「絵本なんて、先生、ダメっていうかな?」
と、その子は少し心配していたのですが、元からこのシリーズが大好きだった私は、「担任の先生は、自分が1番好きな本の感想を書いてきなさいって言って、君はこれが1番好きだと思ったんだから、これでいいんだよ!」とプッシュし、一緒にどんな感想文にするか考えることにしたのです。


普段から、自分の想いや考えを文章にすることが苦手な子だったので、助け船として、「この本を思ってどう思った?」という質問ではなく、「この本の中で1番好きなページはどれ?」と訊いたんですね。この本が「好きだ」と言って持ってきたわけですから、話の内容やキャラクターが好きなのは当然として、どの部分に惹かれたのかが知りたくて、そういう風に訊いてみたのです。


するとその子はバムさんが引っ張っている台車を指さして、「このページにあるこの車と、中に入っている物の色が好き」と言ったのです。
何と具体的な…!と思いましたが、話の内容とかじゃなくて「色」に惹かれたんだぁと思ったら、妙に嬉しくなりましたね。何故って、私もこの絵本に出てくる小物やその色合いが大好きだったからです。何と言いますか、好きな映画があったとして、「この映画いいよねー」、「そうだねー」と、ここまでは人と一致することがあったとしても、その映画のどの部分が良かったかという点でピタリとヒットするって、意外にありそうでないのですよ。


それでそこからは、「それ、めちゃくちゃ分かる~!」と盛り上がり、バムケロシリーズのどのページのどの絵が特に素敵かを語り合い、本人もノリノリとなって、あのページの小物はこういう風に描かれていて可愛いとか、小さな箱の中にぴったりといろいろな物がおさまっている感じが好きだとか、一見、かなりマニアックな感想文になりつつ(笑)、さくさくと一気に原稿用紙3枚書き上げたので、それはもうびっくりでした。当人も、こんなに短い時間でこんなに書けたの初めて!と感動したわけですが、それくらい、この本への好きの気持ちが溢れていたってことなんだから、自信満々に提出するといいよ!と言って、実際先生からも丁寧に書けていると誉められたとのことでした。


そんな思い出深いバムケロシリーズ。本当に、物語も大好きなのですが、絵がとにかく素敵なので、お絵描きする際、何かを真似て描きたいなんて子にも見せてあげたいですね。


ちなみに、この間どなたかが、子どもさんに色鉛筆を買い与える時は、12色より24色にした方がいい、例えば「土」を描こうと思った時に、12色だと茶色しか選べないけれど、24色のものだと茶色にするか、それとも焦げ茶を使おうか、選択の余地が生まれる。或いは2色かそれ以上を混ぜてみるかもしれない。そういう選び、考える機会を、たった12色増やすだけで子どもに与えてあげることができるのです…というような趣旨で語られていて、なるほど~!と唸りました。


バムケロシリーズで、或いは他のお気に入り絵本でも、子どもさんがお絵描きをしようと思いたくなった時には、ぜひ24色(以上)の色鉛筆を用意してあげたいですね。


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