小さな学習塾「わたる」~子ども達の自立と向き合う~

ADHDやLD、自閉症スペクトラム、アスペルガー等、生来より何らかの学びづらさを持つ子ども達の学習・生活支援を行う小さな学び舎「わたる」。その塾を経営するきつねが日々のことをぽつぽつ呟くブログです。

魔法の言葉かけ

皆様、台風19号によるお怪我や、ご自宅等への被害はありませんでしたでしょうか。今回の台風は本当に恐ろしいものでしたね…。「わたる」のある相模原市内でも大きな被害が出ましたが、「わたる」の建物がある地域一帯には、浸水や停電などはありませんでした。これらの被害に遭われた被災地域の皆様には心よりお見舞い申し上げます。


さて、週明けのブログも、本の紹介をさせていただきます。
「発達障害の子どもを伸ばす 魔法の言葉かけ」(shizu著/講談社)。自閉症の子を持つ作者さんが、自らの子育てに思い悩む中でABA(応用行動分析)と出会い、それを利用した「言葉かけ」によってお子さんの能力を飛躍的に伸ばすことができたことから、その実践を「親と子がともに笑顔になれる『行動のコツ』」としてまとめています。


ABAに関しては書籍を読んで理解して頂ければ良いのかなと思うので、ここで説明は省きます。療育法がどうというよりも、この本の読後第一印象は、「ほんわかと心地よい」です。全体を通してシンプル且つ分かりやすい説明、可愛らしいイラスト、何より子どもさんを笑顔にできる「魔法の言葉かけ」がたくさん散りばめられていて、子どもさんにとって有用なだけでなく、日々の対応に苦慮されている世のお母さん方を元気にしてくれる内容になっています。「よし、明日から試してみよう!」と思えるような事例がたくさん載っています。


一方で、「あちゃー…やっちゃってる…こういう台詞、たくさん言っちゃってるよー…」というパターンも紹介されていたりして…、でもでも、みんなそういう失敗を経て、次のステップを踏んでいるんだよ、大丈夫!今日からこっちのやり方をやればいいんだから!というような励ましもちゃんとある。だからこそほんわかと心地よく、「優しい本」と感じられます。


例えば「子どもに選択肢を示し、自分で選ばせる」の章では、
*勉強の例*
母「宿題やろうか」
子「え~、やらな~い」
母「じゃあ6時からやる?6時10分からやる?」
子「……10分からやるよ」
母「わかった、10分からね」(笑顔)


と言う風に、自分で「10分からやる」と言わせる選択肢を用意してあげる。やるかやらないかではなく、今やるか10分後にやるかと提示してあげるということですね(私はこれを読んだ時、「やらない」と言っているのに「じゃあ」とか言って、違う選択肢を笑顔で示すお母さんの絵に笑ってしまいました・笑)。
また、お片付けの例では、


*片付けの例*
母「片付けしようね」
子「うん」
母「積み木、箱に入れようね」(箱を持ってあげながら)
子「(入れる)」
母「そう、それでいいよ。ありがとう。じゃあ車はこのカゴに入れてね」(カゴを持って示す)


このように具体的に指示してあげると分かりやすいと説明。
ただ勿論、このように片付けてくれないこともあるわけで、拒否された場合の事例では、


母「絵本を本箱にしまうのがいい?おもちゃをカゴに入れるのがいい?」
子「どっちもいや!」
母「じゃあ、ママが選ぶから、残ったほうを片づけてね」


このように言うと、子どもは自分で選ぶ確率が高くなるとありました。先に選ばないと、残った方が嫌で面倒なお片付けになる可能性が高い!と感じるからでしょうか(笑)?
いずれにしろ、「やらない」と言っていたはずなのに、「先に選ばなければ!」と、結局選んでそちらのお片付けをする子どもさんを想像すると微笑ましいものがありますね(それでも「絶対やらない!」と言い張る子も、勿論いるのでしょうけれど…)。


この本では、「片付けしなさい!」と一方的に指示するのではなく、やることを目に見えて分かりやすくしてあげたり、子どもに選ばせてあげると、子どもに「自分の意見が通ったという満足感を与えられるメリットがある」とあって、ここの下りがとても好きだと思いました。「自分の意見が通ったという満足感」!これって大事ですよね。やらされているではなく、自分で選んでやったという事実。これの積み重ねが大切だと。


他にもたくさんの事例があるのですが、最後に「こんなことで悩んでいる人に役立ちます!」という部分を抜粋しておきます。当てはまる!と思われた保護者様は、一度手に取ってみても良いかもしれません。とても読みやすい本ですよ。


「こんなことで悩んでいる人に役立ちます!」
*子どもが目を合わせてくれず、声をかけても反応がなく、どう関わっていいかわからない。
*言葉が遅れているけれど、どのように話しかけていいかわからない。
*一日じゅう子どもを叱っていて、イライラする。
*何度同じことを言っても、子どもが言うことをきかない。
*ほめてくださいと言われても、子どものどこをほめていいかわからない。


ちなみに「わたる」でもお子さんの「誉め方」についてはたくさんストックがあるので、どういうところを誉めて良いか分からない等という場合は、普段のお子さんのご様子など教えていただけますと、具体的にご提案できることがあると思います。
入会するしないは別として、保護者様面談も随時実施しておりますので、お気軽にご利用ください。


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