小さな学習塾「わたる」~子ども達の自立と向き合う~

ADHDやLD、自閉症スペクトラム、アスペルガー等、生来より何らかの学びづらさを持つ子ども達の学習・生活支援を行う小さな学び舎「わたる」。その塾を経営するきつねが日々のことをぽつぽつ呟くブログです。

フレデリック

久しぶりに絵本の紹介です。


と、その前に。当塾「わたる」は、教室の隅っこに小さな本棚をちまっと置いていまして、そこで特に力を入れて選出⇒置いているのが「絵本」です。
本棚にある本を1人で30冊借りたら、ごん塾長から「今のあなたに読んでもらいたい本1冊をプレゼント!」企画もやっています。
これまでに30冊レンタルを達成した人…まぁー少ない(笑)。一方で、すでに200冊以上借りて、ごん塾長から何度も本をプレゼントされている猛者もいます。


ちなみに、同じ本を何回借りてもOKで、10回借りた本は「殿堂入り」と言い、「そんなに好きなんだね…もうあげるよ」と、ごん塾長がその本を新しく買ってプレゼントするということもしております。


やはり何回も読まれてこその本。
その中でも、特にごん塾長が推したいのが絵本です。もともと文章を読むことに苦手意識のある生徒さんが多く通ううちでは、絵本を用いた読解問題にチャレンジしてもらうこともありますが、そういったことなしでも、純粋に絵に親しんだり、キャラクターを好きになったり、お話にニコニコしたり、真剣になったりしてもらえたら嬉しいと思っています。



「フレデリック」(レオ=レオニ・作/谷川俊太郎・訳/好学社)もそう思って本棚に置いた1冊ですが、まだ借りてくれた人が1人しかいない(笑)。
表紙からしてすごく可愛いのですけどねぇ。
どことなくねむそ~なのねずみのフレデリック。実際、仲間たちが冬の準備でえっさほいさと働いているのに、目をつむってじっとしている。一瞬、こやつだけ仕事をサボりおって、「アリとキリギリスか?」と思ってしまいますが、実はフレデリックもちゃーんと働いている。自分に出来ることは何かを考えて、秘かに行動(?)しているのです。


みんながみんな同じ仕事をする必要はなく、きみがそれをするならぼくはこれ、なになに…すごい!きみにはそんな才能があったんだ!?…と、仲間うちで認め合える展開が素晴らしい。ネタバレ回避で詳しくは書きませんが、フレデリックが夏の間にしていたことが分かる後半の展開は、何度読んでも大好きだと思えます。


そう、この絵本の良いところは、主人公のフレデリックの特技が分かることとあわせて、それを称賛する仲間たちの存在も!良き!!なのです。
もしもフレデリックがいたのねずみグループに、いっぴきでも「あいつは何にもしてないじゃん!ずるい!」と責める子がいたら、ああいったハッピーな結末にはならなかったことでしょう。行動がナゾな「変わり者」フレデリックに、文句も言わずにいた他ののねずみ達も喝采を浴びるべきです。
何といいますか、まぁあたたかい世界です。寒く灰色の冬が舞台の物語なのに、フレデリックが見せてくれた仄かな日の光以上にぽっかぽかな世界観。
ほんわかした絵も本当に素敵です。


ギスギスした人間関係に疲れている大人の人にもお勧めの一冊かもしれません(笑)。


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