たいせつなきみ
本日は絵本の紹介です。
『たいせつなきみ』(マックス・ルケード著/セルジオ・マルティネス絵/ホーバード豊子・訳/1998 いのちのことば社)というタイトルです。
こちらのブログでは、大抵、私が子どもの頃に読んでハマり、「今でも大好き!」という古い作品を紹介することが多いのですが、この作品は去年、その存在を知りました。
大体「売れている」とされる絵本はチェックするのですが、この作品は何故か今までノーマークでした。そして、普段は大体「どのような内容か」も把握した上で購入するのですが、この本は何故か、どのようなストーリーかもよく知らずに買いました。いわゆる「直感買い」というやつです。
私のこの直感買い、「成功した!(=買って良かった!)」と思う確率は、大体5割です。高いのか低いのかよく分かりませんが…(笑)。
そしてこの作品を一読した時は、真っ正直に書きますと、「ふーん…こういう話だったか」でした。特にガガーン!!と感動することもなく、かと言って「つまらない」というわけでもなく…。ごくごく「普通」というような…?(何とも失礼発言ですが、そういう感想の時もありますよね。)
ところがですね、自分としては何とも珍しい現象だったのですが、そのような感想だったにもかかわらず、次の日に「もう一度読みたい」となったんですね。何かは分からないながら、何かが引っかかったのでしょうね。
そして、2回目の時は「……」と言葉にならないながらどうにも「じーん」と来て、その後もう一度読んだ時、確信的に「……好きだ!この話が好きだっ!」と思いました(笑)。
そういう遅い(?)タイミングで琴線に触れるお話もあるということでしょうね。人それぞれだと思うのですが。
恐らく、最初とっつきにくかったのは「ウイミックス」という、この物語に出てくるこびと達の総称に馴染めなかったというのがあると思います。主人公の名前も「パンチネロ」って、何だか呼びにくいし、可愛くない名前!と思ってしまいました(ひどい)。ついでに、こびと達の姿形も、カクカクしている操り人形のようで不気味に感じた(ますますひどい感想)。実際、このこびと達は人間に作られているんですよね。だからピノキオみたいに木造りのカクカクした関節を持っているわけですが…。
そう、ですから、とにかく第一印象が何となく良くなかった!のです。
ですがこの絵本、何回も読み返している今では、主人公のパンチネロは可愛くてたまらない!となっていますし、読むたびに「ほっこり」温かい気持ちになっています。いつの間にか、この最初「怖い」とすら感じた絵全体から、ほんわかした心地良い熱というか、春の暖かさのようなものまで感じます。不思議だ…人の感覚って本当に不思議。
特に好きなセリフは、
「まして つくりぬしからこんなふうに 言われるなんてね。
うれしくてことばも出なかった。」
というところ。
極力話の内容を書きたくないので「こんなふう」ってどんな風?ということも書きませんし、どういう展開でそうなったのかも書きませんけれど。
この2行を読むだけで、パンチネロの、涙が出そうになるくらい嬉しい気持ちがぶわわわ~っと伝わってきて、本当、私まで泣きそうになります(何故一読目でそうならなかったんだ・笑)。
当然のとごく「わたる」に通う生徒さん達にも読んでもらいたいが為に、本棚に置いているのですけど、今のところ2名しか読んでくれていません(爆)。しかもうち1名には半ば強引に読んでもらった(ヲイ)。
この絵本、帯にある過剰な宣伝はいらないかな~、感動の押し売りみたいな誤解をされたらいやだな~と思いながら、かくいう自分が押し売りも押し売り、みんなに読んで~と推しております。
機会がありましたら、ぜひ手に取って読んでみて下さい。こびと達の世界も人間社会と同様、いろいろ大変ですけれど。
https://www.wataruproject.com/