小さな学習塾「わたる」~子ども達の自立と向き合う~

ADHDやLD、自閉症スペクトラム、アスペルガー等、生来より何らかの学びづらさを持つ子ども達の学習・生活支援を行う小さな学び舎「わたる」。その塾を経営するきつねが日々のことをぽつぽつ呟くブログです。

ぼくはめいたんてい きえた犬の絵

久々に児童書の紹介を。
「ぼくはめいたんてい きえた犬のえ」(マージョリー・W・シャーロット・文/マーク・シーモント・絵/光吉夏弥・訳/大日本図書)というシリーズ本の1冊目です。


これは全シリーズ集めて揃えたいな~と思っているくらい好きなのですが、果たして自分以外に読んでくれる子がいるかどうか!?という葛藤が…。
いや、絶対面白いと思うのでみんなハマる気がしますし、本を読むのに「対象年齢」は関係ない!…というのが、わたくしのポリシーですが、やはり「パッ」と見た感じ、低学年の小学生向けなので、上の子達は借りないかな~と。


しかし、繰り返しになりますが、いい大人のごん塾長はこの本が大好き。まず、推理ものというところが良いです。ごん塾長、小学生の頃、学校の図書室に置いてあった某推理シリーズにどハマりしたことがあり、当時はその影響で弁護士になりたいと思っていました(弁護士さんが主役でナゾを解明していたため)。
さらに推理小説そのものに触発され、自分が主人公の探偵小説を書き、登場人物もクラスメイトの名を勝手に拝借したという黒歴史があったりなかったり…。←あった
さすがに殺される役と犯罪者をクラスメイト名にするのは気がひけて架空の名前にしたのですが、その際さらに思考が飛躍し、「もし世の中にこれ(⇒殺される人と犯罪者)と同姓同名の人がいたら悪過ぎでは…」などと考え出した結果、「そんな珍妙な名前、全国探してもいないだろ!?」という名前を殺される人&犯罪者名にしたため、「誰が犯人かまる分かり」な話になってしまいました…。
……しかしつまりは、その当時、殺したいほど憎かったり、犯罪者にしたいほど憎かったりする同級生がいなかったということですから、それは良かったと思います(何)。


話が思い切り逸れましたが…。いつの時代も、推理小説というのは子どものワクワク心を誘いますよね。探偵って憧れの職業といいますか。


このお話でも自称…いや、自他共に認める名探偵の少年・ネートが、どんな依頼も引き受けて、誰も解けない難事件を解決してしまう!…という、スリルとサスペンスの物語なのです。
……というと、言い過ぎと言いますか、正しい書評にならなくなってしまうのですが。


この「きえた犬のえ」、1作目に相応しく、少年の名探偵ぶり(と食いしん坊ぶり)がとてもよく描かれています。お話自体は「ただの」物探しと言ったらそれまでなのですが、何というか、まず少年の捜査っぷりが基本に忠実で好感度高いです。いや捜査の基本って本当にはよく分かっていませんけれども(笑)、例えばこのお話では、どういう状況で「それ」はなくなったのか?その場にいた人物は誰か?それらの人々はその時何をしていたのか?等の聴き取り捜査を、ネートは実に丁寧に、大人顔負けの紳士のような振る舞いで行っていくわけです。この子の学校生活がどのようなものか知りたくなりますよ(笑)。いやでも、誰か女の子を好きになるならアニー(依頼人)でしょうとか言っちゃったり、パンケーキもっと余ってない?とか言っちゃったり、普通に年齢相応な言動もちらほら見られて、一見、斜に構えたような青年然としたネート君が、全く憎めない愛らしいキャラにもなっているのです。要は、キャラクターが栄えている。


そして、オチがうまい!もちろん、ネタバレは書きません。
事件を解決する過程で、読み手も一緒に推理できるのが推理小説の醍醐味。子どもさんは夢中になって読めるのではないかな?と思います。


そしてこの本、巻末に「名探偵になるための心得」を書いてくれているのですが、これがまた面白い。
これって、「勉強ができるようになるための心得」でもあるのでは?と感じました。多くの子どもたちが、このような本に興味を持ち、楽しみながらページをめくってくれて、いっしょうけんめい絵を見たり、字を見たりしながら「考える」ことをしてくれたなら。なるほど学力の伸びも期待できるだろうと思うのでした。


やっぱりシリーズ集めて置いておこうかな~。小学校低学年向けですが、高学年でも中学生でも、読んだらきっと楽しいと思います。


×

非ログインユーザーとして返信する