「わたる」(塾)を立ち上げた理由
私が自分で学習塾を始めたいと思ったきっかけはいろいろあるのですが、その「いろいろ」あるうちの、今日は一つをご紹介したいと思います。
と言っても、そんなに大層な理由ではないのですが…。
私が通信制サポート校の教員をしていたことは、このブログにも何回か書きましたが、他にも、ある予備校で働いていたことがあります。そこでは受験生さんやその親御さんから進路の相談を受けたり、学習の仕方をお伝えする仕事等をしていました。
そこで働き始めてまず驚いたのは、結構な数の学生さんから、「何をどれだけ勉強したらいいか、内容は先生が全部決めてください。私(ぼく)は全部その通りにやりますから」と言われたことでした。
学習の仕方をアドバイスするのが仕事なら当然では?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、「何もかも全部」決めて欲しいと言われたことは衝撃でした。暫くすると慣れて「そういうものか」となりましたが、最初の頃は「え?いいの、それ?そんなこと全部決められたら嫌じゃない?自分がすることなのに」と真顔で聞き返しました。
するとそのうち何人かの生徒さんからは、やはり「それが先生の仕事じゃないの??」と逆に聞き返され、「その通りにやっても成績が上がらなかったら、それは先生の責任ってことで、自分のせいじゃないから、気がラク」と言われたこともありました(笑)。
何もかも全部っていうのは、つまり、何もかもです。
例えば、日曜~土曜日までの1週間、英語だったら「A問題集を〇ページ~〇ページまで、それを大体△分くらいで終わらせる。次に数学のBテキストを◇ページまでやる。翌日は前日やった英語のA問題集の〇の部分の復習を✕分やって…」と、そんな感じです。
生徒たちには学校が(人によっては部活も)あるし、予備校の授業もある。食事・風呂等の生活時間も考慮すると、自宅や塾の自習室で勉強できる時間は大体決まってきます。そして、予備校授業の復習が何より大事だからその時間を大きくとって……等々考えていくと、生徒たちが「これもやりたいから買った」と持ってくる市販のテキストをこなす時間はほとんどありません。つまり塾の復習(繰り返し)がメインになるわけですが、この復習にしても、どのタイミングで何回やったら良いか、また「復習」とはそもそもどのようにやるか等も細かく指示を受けたがる子が多くいました。
テキストによって難易度も違いますし、そもそも各生徒さんによって1ページを何分でできるか等、個人差がありますから、いきなり来られて「全部指示して」と言われても、私が提案してみたことをその通りにできる子はほとんどいません。できちゃう子もいますが…その場合、自分で言っておいて「本当にあれだけやれたの!?すごすぎ!」となります(笑)。
で、大抵のパターン→「できなかったよ~」と言う子が1週間後にやって来たら、当然、また計画を組み直します。じゃあ、これをこのくらいのペースに変えてみようか?と。私自身、そういうやり取りを重ねていくことで、その子の能力や学習配分等が分かってきます。
ただ、一人に対する相談時間がとても長くなる上、大抵は「そんな無茶な計画立てないでください!」「そんなにできるわけないでしょ!?」となるので、揉めます(笑)。
しかしここで面白いのが、じゃあどうする?となった時に、1回目には全部お任せだった子たちが、2回目、3回目とやってくるにつれ、「自分がどれくらいの量できるのか」や「復習(反復)がどれだけ大事か」を段々と実感してきて、私に託しながらも、「いや、この時間はこの教科をこれだけやった方がいいから、ここはこう変える」と自ら意見してきたりして、第三者(私)のアドバイスを受けつつも、「自分の意思で」スケジュールを立てられるようになってくるのです。
そうなると、もう断然楽しいです。最高に楽しい(2回言った)。当然ですが、これができるようになってくると、生徒さんの成績も必然的に上がります。お陰さまで、会社(予備校)からつけられる「成績表」の一つ、「担当生徒の成績伸び率」は、常に好成績を取らせてもらっていました。
勿論、なかなか成績が伸びずに悩む生徒さんもゼロではありません。「受験勉強」はやればやるだけ伸びますが、この「計画通りにやる」ということが、そもそも凄く難しいわけですから。私だって、毎日ダイエット頑張ろうと思って計画を立てても、実行できないことなんて多々あります(全国の受験生さんに申し訳なさ過ぎる比較の仕方)。
でもだからこそ、学習に難渋する子どもたちに併走してあげられるような個別塾をやりたいなと思いました。
所詮、勉強なんて自分ひとりでやるものさ、孤独なものさ…って、そういう側面もあるかもしれませんが、一方で誰かと「一緒にやる」ことで分かること、気づけること、できるようになれることが沢山あるわけです。ましてや、勉強が嫌いで、自立的に学習をした経験のない子どもさんの場合は、まず誰かと共に学習の仕方を学び、そこから成功体験を得ていくことがとても大切だと考えます。たったひとつの「できた」を経験するだけで、学習に対する意識は絶対に変わるはずです。具体的には「テストで良い点数を取れた」ことなんかが一番イメージしやすいのかなと思いますが、何にしろ、「ちょっと嫌だったけど、次もまたちょっと頑張ろう」と、そう思えるような学習体験のお手伝いがしたいのです。
そんなこんなで、「わたる」は受験予備校ではありませんが、「学校のテストで良い点数を取りたい」生徒さんの受け皿になりたいと言うことも常に考えています。
勉強の仕方が分からない、何をどうして良いか、「何が分からないのかも分からない」「授業がさっぱり」「苦痛~!」という生徒さん、是非一度「わたる」に足を運んでみて下さい。