小さな学習塾「わたる」~子ども達の自立と向き合う~

ADHDやLD、自閉症スペクトラム、アスペルガー等、生来より何らかの学びづらさを持つ子ども達の学習・生活支援を行う小さな学び舎「わたる」。その塾を経営するきつねが日々のことをぽつぽつ呟くブログです。

置くべきか置かざるべきか

何やら大げさなタイトルにしていますが、「わたる文庫」に漫画を置くべきか否か?というのは、結構な悩みどころです。
私は漫画が大好きなのです。漫画を読むことが趣味と言っても差し支えない程度には読んでいますし、買っています。昔は描いてもいました(漫画家になりたかった時期もあります)。


大体の漢字は漫画で覚えましたし、想像力も創造力も鍛えてもらいました。漫画で得られた知識も随分とあります。学習教材にも「漫画でわかる〇〇!」といったタイトルで様々な教科学習に活用されていますよね。ですので、すでに「わたる文庫」にも、ご寄付いただいた「まんが日本史」などの類は置いているのですが、もっと「いかにも漫画!」というものも置く?どうする?と考えることがあります。…「いかにも漫画!」というのは、例えばそう、『ONE PIECE』とか。


いやいやいやいやっ!そちらさん、学習塾でしょ?勉強するところでしょ?そこへ、そんな漫画本なんか並べちゃったら、それ、子どもさんはずっと読んでしまうんでない?下手したら、その場から動けなくなるよ?少なくとも1冊読み終わるまでは動けなくなるんじゃないの??……という心配の声がどこからともなく聞こえてきます。そう、誰あろう、私の脳内から…。
確かに、そういう光景が嫌でも思い浮かぶので、今は自制しています。ここは本屋ではない。漫画喫茶でもない。学習塾!勉強をするところ!漫画を読みに来る所ではないっ!と。


ですが、このブログで常々お勧めしている絵本や児童書と同様、「小学生に勧めたい漫画」「中学生に~」「高校生に~」って、年代ごとにたくさんあるのです、「子どものうちに読んでもらいたいお勧めの漫画」が。漫画だって良い作品はたくさんある!
子どもの頃に好きで、大人になってもずっと好き!とか、大人になった時にはもう忘れていたけど、ふと何かの拍子に思い出してまた手に取りたくなるとか…そういう作品と1つでも多く出会えていたら素敵なのではないかという…実に個人的な、勝手な想いなのですが、「心の支えになる作品」って、何も本や音楽だけじゃない、漫画やアニメ、ゲームにだってありますからね。


だから、「〇〇だからダメっ!」というのはなるべく廃して、自分が薦めたいと思っているものは積極的に「わたる」にも置きたい、だがしかし!……という葛藤があるという話なのでした(笑)。
まぁでも、この野望はもうちょっと先ですかね。まずは第一の目的である、生徒さん達に「仮に教室にな~んにもなくても、殺風景な場所でも〝学習〟を楽しんでもらう」ことに重点を置きたいので。


ところで、先の例に挙げた『ONE PIECE』なのですが、私がこの作品を知ったのは、サポート校で1年生の担任をしていた時でした。男子生徒たちが何やら盛り上がっているけれど、当時の私は漫画を全くと言ってよいほど読んでいない人になっていたので、一体何の話をしているのか分からない。それで、「何?ワンピースって服のこと?」などと見当違いのことを言って、彼らから白い目で見られます。


「マジで、ONE PIECE知らないとか人生を無駄にしているし!」


な、何だって??それを知らないと人生を無駄にしてしまうほどの漫画とは!??
これは通信制のサポート校共通のことなのか、それとも私がいた学校が偶々そうだったのか、それは分かりませんが、少なくとも私がいた学校には漫画、それに、アニメやゲームが趣味という生徒がたくさんいました。ですから、まずもってこれらのことが分からないと、彼らの会話に参加できないし、結構、距離を置かれます。「こいつは分かっちゃいねえ」とシャッターが下りる感じがもろにすると言いますか(笑)。


「教員」という立場で、別段、彼らと「仲良し」になる必要はないでしょう。趣味が合わないからといって特に支障もありません。ですが、普段、話があまりうまくなかったり、いっそ無口だったりするような彼らが、こと人が変わったように饒舌になる分野があり、それが何かを知ることは、彼らのルーツや、何より彼らの人となりをより理解することに繋がるように思っていたのです、当時の私は。
それでとにかく、「生徒が好きなことは自分も知る、やってみる」ということをしていました。ましてや、「これを知らないと人生損」とまで言われた日には、その日のうちに大人買いです。社会人はこういう時に良いですね(笑)。
結果、あの時の彼らももう良い大人になっている頃ですが、私自身、このようにいい年になっても、現在も買い続けています『ONE PIECE』(笑)。


そんなこんなで、「確かに面白い!人生損してたよ、教えてくれてありがとう!」と思うこともあれば、「こ、これは…悪いけど、私にはよく分からない(汗)」というものも多々ありつつ、気づけば私自身も再び結構な漫画好きになったのでした。


しかしながら、世の中にある本当にいろいろな作品が、子どもたちそれぞれの心の琴線に触れて、彼らの成長の役に立っていたり、大げさではなく「心の支え」になっていたりするのを目の当たりにして、改めて「漫画って、本当に良いものですね」と、某映画評論家さんのような感慨を新たにしたのでした。
今日は学習塾ブログらしからぬ内容だったかもしれませんね。


×

非ログインユーザーとして返信する