小さな学習塾「わたる」~子ども達の自立と向き合う~

ADHDやLD、自閉症スペクトラム、アスペルガー等、生来より何らかの学びづらさを持つ子ども達の学習・生活支援を行う小さな学び舎「わたる」。その塾を経営するきつねが日々のことをぽつぽつ呟くブログです。

指遊び・手遊び・腕遊び

気づけばもう11月。時が経つのは早いですね。いろいろと焦る気持ちもありますが…。
反面!「わたる」の年末大掃除だけは慌てなくてもいいなと余裕の気持ちです。毎日せっせとモップがけをしているから、基本教室は綺麗なのです。日々の積み重ねが大掃除をこんなにも楽にしてくれるとは…この教訓は人生の至るところで活用できる気がします。
……と、よくよく分かったはずなのに自宅の方は…大掃除のことを考えるとウッとなります(まずは普通の掃除をしなければ…)。


さて、今日は本の紹介をしようと思います。
作業療法士の木村順先生が監修されている「遊んでいるうちに手先が器用になる!発達障害の子の指遊び・手遊び・腕遊び」(講談社)です。


2013年に第1刷が刊行された本で、4章で構成されています。
第1章【「手先が不器用」な子どもたち】では、「不器用」と言っても、具体的にはどのような状態を言うのか、分かりやすく日常生活を例にとって、イラスト込みで説明されています。折り紙やつみ木で遊びたがらない子、お遊戯や手遊びの動作が身につかない子、新しい授業や行事をやる前から嫌がる子……などなど。そういった子たちが、何故そのような様子を見せるのか、考えられる原因など含めて解説されています。


第2章【そもそも「手の動き」ってなに?】では、様々な機能を持つ手についての解説です。物をもって操作する時と、触って選び分ける時に使う手の機能は違うなど、これも図などを介して分かりやすく書かれてあります。


そして第3章が【指・手・腕の感覚を整える「15の遊び」】の紹介です。この遊びを週にどれくらい取り組んだら良いか、その目安や、どのような道具で遊べるかなどが楽しく書(描)かれていて、親御さんだけでなく、学校の先生も「教室でちょっとやってみようかな?」と思えるのではないかと思いました。


最後に、第4章【遊んでいるうちに「手の使い方」がわかる】でまとめなのですが、その中に「指導者が配慮してくれない場合の対処法」→ただのクレーマーではなく、ポジティブクレーマーになろう!というような助言があって「おぉっ」となりました。指導レベルが0から6まで、表になって説明されているのも凄かった。
ですが実際、これは指導者側からしても実にありがたい助言だと思いました。親御さんが積極的に「うちの子はこうだから、こういったタイプの指導も取り入れて欲しい」と具体的な要望を寄せて下さったり、「指導の内容はよく分からないのでお任せとしても、とりあえず家ではこんな感じです」、「こういうことで凄く喜びます」といった、ほんのちょっとのことでも教えて頂けたのなら、それはお子さんを指導する際の貴重な情報になりますから。
専門家はたくさんのお子さんと関わっていたり、その都度勉強する分だけ、経験や知識はあるかもしれませんが、目の前の「その子」に関しては、親御さんの方が「専門家」です。そういう意味では学校の先生も、その子と長く一緒にいる方なので、親御さんの知らない、「家庭では見せない顔」なんかを、もしかしたらご存知かもしれない、もう一人の「専門家」です。塾側の人間である私からしたら、そういった自分の知らないその子の様子を、親御さんや学校の先生から教えてもらえたら、大変助かります。ポジティブクレーマー、素晴らしいっ(〝クレーマー〟って単語はどうしても宜しくないイメージがありますが…笑)。
いろいろな大人が関われば関わるほど、その子にとって楽しく実りある、その子に合った教育プログラムを作り上げることができるんだろうなぁと思ったのでした。


それとちょっと戻って、3章の「指遊び~」、これは絶対に楽しいだろうし、これらを参考に発展的遊びも交えた授業案を考えたい!と、個人的に授業作りへの熱が燃え上がったのですが、よくよく考えると、これらの遊びって実は子どもの頃に「一度はやったことがあるかも」と思えるものばかりなんですよ。なぞり遊びとか、つかみ取りとか…。知らない間に訓練になっていたというか、手の刺激を促す遊びって、本当は昔から生活上にたくさんあったんだな、と改めて感嘆しました。


一方で、今は情報社会で、ちょっと外に目を向けると「刺激」になるものがたくさんあるが故に、逆に自らの身体を動かして得る「刺激」の方は疎かになることがあるのかも…ということも考えてしまいました。
それと、遊びの例にあやとりがありましたが、「ドラえもん」ののび太君は、運動嫌いで昼寝が趣味という一見ぐうたら君ではありますが、そのあやとりも趣味だったわけで、凄くクリエイティブで、且つ手先の運動になることをしていたのだなと(笑)。


何にしろ、どういった遊びがあるのかな?と興味を持たれた方は、この本、是非手に取って見てもらいたいと思います。


因みに「わたる」でも、こうした指遊び・手遊びは積極的に取り入れていく方針です。興味を持って下さった方は、是非一度体験授業にお越し下さい。


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