秘密にしたい塾?
小さな学習塾「わたる」はご入会までのステップとして、
① 保護者様と入会前面談(「わたる」の説明&今の困り感など差し支えない範囲で教えていただきます。)
② 体験授業(保護者様からいただいた情報から学習プログラムを錬り、お子さんに「わたる」の学習スタイルを知ってもらいます。)
③ 気に入っていただけたらご入会!
…という流れです。
恐らく巷の学習塾さんとさほど差異はないのではないでしょうか。
ただ体験授業の際、「わたる」ではいくつかの決まり事というか「お願い」について話をするのですが、その1つに、「ここではあなたの弱いところ=弱点を見せてください」というのがあるのです。
「わたる」には、「自分の得意なことをもっと得意にする!」ために来てもらっても良いのですが、大抵の親御さんやご本人は、そういう目的で「わたる」の門を叩きません。
何らかの苦手があり、それを得意にする…とまでは、なかなかに難しくとも、「何だ、そんなに大変でもないじゃん」と思えるようになるため―…要は、「苦手意識の軽減」のために入会される方がほとんどです。だからこそ、はじめに「自分の思う苦手なこと(=弱点)があったら、恥ずかしがらずにどんどん教えてください」とお願いします。そうして教えてもらえると、その苦手を何とかする為の作戦を立てる、いわゆる「作戦参謀」役のごん先生は、当たり前ですが、とても助かるというわけです。
「苦手を克服するために通うんなら、そんなのいちいち決まりにしなくても、本人が言うのは当たり前じゃん?」…と思われる方もいるかもしれません…が、これが結構難しいです。
以前に勤めていた塾でも、「ここには間違えるために来ているんだから、正解が分からなくてもいいんだよ?」と言った時、生徒さんからとても驚かれて「そうなの??」と返され、私もまたびっくりするということがありました。
「いやだって、はじめから出来るなら塾に来る必要ないでしょ?分からないから通うわけで…。だから、ここ(塾)で間違えるのは当たり前のことだと思うんだけど」…と言うと、「うーん、そうなのかな」とピンときていない返答をされ、それにまた私は戸惑ったのでした。
ですが、思い返せば、学校現場でもそうでした。
授業では、問われた問題にはすべからく正解を出さなければならない、間違えたら恥ずかしい。「間違えること」は「ダメなこと」…という想いが強い子は多かった。そう、非常に多い。2回言った(笑)。
それと同様に、自分の苦手やできないことを公然と大人に、ましてや「先生」という立場の大人に告げることは、当たり前のようでいて、何だか恥ずかしいし、難しいし、むしろやりたくない!と感じる子は多い印象です。
また、言いたくても、そもそも「自分の苦手が分からない」という子もいます。
親御さんや周りの大人が「あの子の苦手はこう!」と思っていても、本人にはその自覚がなかったり、或いは、それとは違うことに「苦手」を感じている場合もあります。
要は自分の苦手なこと・弱いところを話してねということに対して、「そんなの難しいよ!」と感じたとしても、何ら不思議ではないのです。
ですから、そこに「正解」なんて私も求めてはいなくて、むしろそういうことは一緒に学習していく中で私が見つけていくことなので、分からなければそれはそれでOKです。
「じゃあ何でそんなお願いするの??」というところですが…、ただ最初に知ってもらいたいんです。ここは「そういう場所」なのだと。自分の得意ってどんなところかな?というのを見つけるのは勿論、「自分にはこういう苦手があったんだ」「でも、こういう風にすれば、な~んだ、案外できるところもあるんじゃん!」そういう気づきを得るための場所なのだと。それを最初に意識して入るのと、何とな~く塾にきました~何とな~く先生が出してくる勉強してま~す…というのとでは、後々学習姿勢にも大きな違いが出てくると考えています。
分からないなら分からないで、一緒に考えていけばいいし、それで、できるようになったら一緒に喜びたいな~と。そういう想いで、私はいます。
で、ここからが本題でした(前振りが長い・爆)。
私はあなたの苦手をどうにかするための作戦を立てる作戦参謀、ここは苦手な気持ちを減らすために秘密の特訓をするところ!…と話した時、某君から「それじゃ、ここに来ていることは秘密だね」と言われて「えっ?」と。
別に「わたる」に通っていることを秘密にしなくてもいんだけど…。むしろ、通ってみて楽しかったら学校の友だちにも宣伝してもらいたいし、隠されると塾としては認知度が広がらない…と、「経営者」としては思うのですが、確かに「秘密の特訓」って私自身が言った(笑)!
いや~…特に深い意味はなかったのですが、「秘密の特訓」って言い回しは、何だか面白くてわくわくしませんか。苦手なことをここで特訓していたら、ある日学校で、「あれ?○○くん、そこ、できるようになったんだ?」とか、「何だか○○さん、最近、字を書くのが上手になったねぇ」とか。そういう変化を驚かれたら楽しいし、嬉しいじゃないですか。
そういうことを想像しつつ、つい「秘密の特訓」などという言葉を使ってしまったのですが、それじゃあ確かに「なら(人に)言っちゃダメだね」と受け取られるのも道理です。何ということでしょう(自業自得)。
結論としては、「このフレーズを使うのはやめよう…」と思いました。←
「公開特訓」しているわけでもありませんが、通っていることを秘密にしなければならないようなアヤシイ塾でもありません。むしろ、こんな変わったおかしな塾はどんどこ自慢して欲しい!
通って下さる生徒さんが、「自慢したいな!」って思ってもらえる塾になるよう、これからも日々精進したいと思います。