小さな学習塾「わたる」~子ども達の自立と向き合う~

ADHDやLD、自閉症スペクトラム、アスペルガー等、生来より何らかの学びづらさを持つ子ども達の学習・生活支援を行う小さな学び舎「わたる」。その塾を経営するきつねが日々のことをぽつぽつ呟くブログです。

あいさつをしよう

「わたる」の内扉に別れのあいさつ表を貼りました。何ということもない表です。


〝今日もお疲れ様でした。好きなあいさつで別れよう♪〟


…という言葉の下に、いろいろな国の言葉で、「さようなら、良い夜を!」と書いてあるだけです。
しかも、用紙の広さに限界があるため、世界各国のあいさつは書き切れず、日本語を筆頭に、イタリア語、英語、韓国語、スペイン語、スワヒリ語、中国語、ドイツ語、フランス語、ロシア語の10カ国のみです。調べてみると、国によってはこの短い一言が案外長くて、貼り紙を読むだけでも一苦労…というものもあるので、もちろん、「さようなら」だけでもOK。要は挨拶をして帰ってくれれば何でも良いのです。


「わたる」には、入会にあたって、幾つかのルール(約束事)があります。
そのうちの一つが、「どんなに勉強が大変でつらかったとしても、帰る時は『さようなら』と挨拶して別れましょう」というものです。
「さようなら」の5語すら長かったら、「バイバイ」でもいい。「ん!」と手を振ってくれるだけでもいい。何なら私が「さようなら」と言ったら、頷くか、目を合わせてくれるだけでもいいのです。とにかく黙って去るのだけはやめようという、ルールというよりは、まぁお願い事です。
何故って、挨拶してもらえなかったら、さみしいじゃないですか、私が。(自分か!)


挨拶は人間関係の基本…とは、先日紹介したマナー本の話をした際にも触れましたが、実は意外と難しいです。挨拶できないお子さん、いますよね?しなくちゃいけないことは分かっていても、「何か言えない」って頑なになっている子とか。よく分からないながら「挨拶したら負け」くらいの勢いで意地でもしない子とか。照れくさいのか、そんな「ちゃんとした自分」を見せることには抵抗があるのか、特にあらたまると余計に言えなくなる子は結構いるように思います。


それとは別に、「知らない人には挨拶するな」って教える大人もいて、いつだったか、どこかのマンションで、住民投票により、お互いに挨拶はしないようにしよう、不審者と近所の人の区別がつかないから…という話がニュースになりませんでしたか?個人的には、世も末だな…と思いましたが、それくらい、もう日本という国も完全に安全ではない!という不安が親御さんの中で広がっているのかもしれませんね…。
ですから、近所と言えど、気軽に「おはよう」「おかえり」といった言葉を交わす風習のない地域が増えているのだとしたら、最早挨拶は自然に身につくものではなく、教えられないと出てこないもの…と変わっていてもおかしくはない…と思うのです。


とはいえ、塾の、一応先生たる私は、通ってきてくれる生徒さんにとっては「知っている人」なので、挨拶してもらいたい(笑)。
そんなこんなで、日本語が気恥ずかしいなら、外国語でもいいよってことで貼り紙をしてみました。しかし、まずもってこの表に気づいてもらえるかどうか…。え?帰る時に嫌でも目にする内扉でしょ?気づくに決まっているじゃない?と、思いますよね。


しかし、「わたる」の出入口は自動ドアでして、その扉に近づいた瞬間、「ガーッ!」とドアは開いてしまい、そのあいさつ表の紙も隠れてしまうのです(ヲイ)。
「あれ?今何か書いてある紙が見えたけど、流れて行っちゃったよ!」…という感じで、何なら気にする間もないくらいの早さで消えていくので、文字を追えない。自動ドアのセンサーが反応しない離れた所から見てもらうしかありませんが、そうまでして見ようと思うかな?という素朴な疑問が…(笑)。


こちらの店舗をお借りした時、すでに自動ドアだったのでそのまま利用させてもらっているのですが、うーむ。そのうち「ガチャ!」と開ける方式のドアに替えたいな…という気も、しないではありません(扉拭く時もいちいち大変だし…)。


少し話はそれましたが…。
私の友人に、「ものすご~く」挨拶のしっかりした人がいます。この友人、家族・友人・知人に大変礼儀正しいことはもちろん、外で会う人にも全てに対して礼儀正しい。
例えばコンビニで物を買います。袋に入れてもらって店員さんが「ありがとうございました~」と言うのに対し、「ありがとうございます」って自分もお礼返し。
ファミレスに一緒に入って、メニューを運んできた店員さんが「お待たせしました~」とお皿を置いて行く時も、「ありがとうございます」とにこやかにお礼。もちろん、会計の際は「美味しかったです、ごちそうさまでした」と。ここでももちろん、笑顔と共に。


本当に本当に素敵だな~素晴らしいな~と思って、真似したいと思うのですが、「ごちそうさまでした」って言うのも何となく照れくさくて、「どうも~」とか行って出てきてしまう私がいます…。何だよ「どうも」って。と、心の中でツッコミを入れるのですが、言い慣れないことって、なかなかうまくいかない。本当に美味しかったお店には、最近「ごちそうさまでした」と言えるようになりましたが(感動の差で・笑)。


その友人が言うには、「これが私の、生まれてからずっとの〝普通〟だから、びっくりされても、こっちがびっくりするわ」と返されるのみです。そうだよね…。でも世間一般の普通は、どっちかというと、黙って出してもらった料理をむさぼり、黙ってお金を払って去って行く方だと思うのよ…。
そう返すと、「そうじゃない方が良くない?言われた方だって、お礼言われたら頑張ってまた働こうってなるよ」と。正論過ぎて何も言えません…。
いい年をした私でさえ、このように、できるようになりたい言葉掛けがまだまだあります。子ども達にも、いろいろなシチュエーションの優しい言葉掛けを知ってもらいたいなぁと思います。今から知っておけば、大人になった時にはバリエーションたくさん!ってなるでしょうからね。


×

非ログインユーザーとして返信する