小さな学習塾「わたる」~子ども達の自立と向き合う~

ADHDやLD、自閉症スペクトラム、アスペルガー等、生来より何らかの学びづらさを持つ子ども達の学習・生活支援を行う小さな学び舎「わたる」。その塾を経営するきつねが日々のことをぽつぽつ呟くブログです。

こども六法

雨漏り対策をしていただいてから、早速台風がやってきました。
修繕は終わっているし、大丈夫だろうと思ったのですが、日曜の午後から早くも雨が降り出したので「念のため…」と本棚にビニールシートをかぶせて帰宅。本日おそるおそる、前回水浸しのところを中心にチェックしましたら…
何事もありませんでした。良かった!これで問題解決だ!
本棚は大事です。正確に言うと本棚の中の本が…。本は宝!!


ところでまだ読破していないのですが、今、時間が空いた時に読む物のひとつとして、「こども六法」(山崎聡一郎 著/弘文堂)が手元にあります。
面白い!
新聞に宣伝の記事があったことをきっかけに「読みたい!」と思ったのですが、反響が凄くて在庫がないと…。そうだよな~読んでみたいもんな~と思いながら忘れていたら、この間増刷されたようで、無事私の手元にもやってきました。


もともと、小学校の頃に、手首を折るほどの暴力を受けるいじめに遭った著者が、「子どもだからって何をしても許されるのか?」という疑問から国の法律に興味を持ち、「もしもあの頃の自分が法律に精通していたら、自分を守れたかもしれない」という動機によって、この本は生まれたそうです。
詳細はすでにおぼろ気なのですが、私が読んだ新聞記事には、著者が小学校高学年の頃、最初にいじめられていた子を庇ったら、今度は自分がターゲットにされて暴力をふるわれるようになった…というエピソードが書かれていて、結局、中学は私立へ行った…という説明があったと思います。


ところがそれで興味を持ってこの「こども六法」を買ってみましたら、著者の紹介ページに、実はその後、進学した中学校で、今度は自分がいじめの加害者になってしまった…と書いてあって驚きました。
それは著者自身にとっても衝撃の出来事だったらしいです。あれほど酷いいじめを受け、いじめというものを嫌悪していたはずの自分が、今度は加害の側に回ってしまう…。もっとも、それにより一層法律、特にいじめに関わる法律に関心を持ち、法教育によっていじめを解決する方法を研究する道へ進んだとありました。


子どもだからって許されないことは勿論ある。この国には、全ての人たちが安全に楽しく生活できるようにと作られた法律があり、それを破るようなことがあれば、子どもでも罪になることはあるのだ…ということを、著者は「もっと分かりやすく教育していく必要がある」と考え、それによって出来たのが、この「こども六法」だそうです。
確かに、自分が生きるコミュニティには、ある一定のルールが存在しているのだということを、知っているのと知らないのとでは、かなり違う。


例えば刑法の解説のページでは、うさぎちゃんが「おサイフ拾ったー!ラッキー!ジュースを買おう」と喜びますが、イヌのおまわりさんがやってきて、「それは遺失物横領罪(刑法第254条)だよ!」と止めに来ます。
うさぎちゃんは、そんな決まりがあることを知らず、「えっ、知らなかった…」と青ざめて長い耳をしょんぼりと垂らすのですが、わんこのおまわりさんは、「知らないは言い訳にできないよ」と厳しい顔で「めっ」と言うのでした…。
可愛いイラストなのですが、大きなタイトルで「法律を知らないことは言い訳にはできないよ!」と書かれていて、なかなかにシビアです。無知たることは罪なのか…。しかし教育の機会を与えられている以上、子どもでもそうしたことは知らないといけないということなのでしょう(でも学校で刑法習ったの、私は大学生になってからでしたけど…汗)。


その他、子どもの「あるある」では、タイトル「気軽に『死ね』って言ってない?」の章で、こいつむかつくからみんなで死ねって送っちゃおうぜ!とLINEを操作しているライオンくんとワニちゃんが、オウムさんから「そんなこと絶対にだめ!」と言われており、刑法202条の「自殺関与及び同意殺人」が紹介され、人に死ぬことをすすめたり、手伝ったりして自殺させた人は懲役や禁固刑があると書かれています。


同じく、意地悪ライオンくんと意地悪ワニちゃんが、メガネっ子のリスちゃんをあげつらい、「あいつキモいよな」「ウザいよね!」と言っている「その一言が罪になる!」とし、イラストの下に、刑法231条「侮辱」があったりします。大勢を前に人を馬鹿にしたり、悪口を言ったりすると、拘留か科料とすると…。


こういうのって、実は知らない子どもたち、たくさんいるのではないでしょうか?もちろん、人に「死ね」「ウザい」などと言うことは「ダメなこと」、ましてや大勢で一人の悪口を言うことがどれほど「卑怯な行為」かということは、家でも学校でも教え込まれているはずです。だから、頭では分かっている。けれど、法律という側面から、普段おもしろおかしく人を叩くそれらの言葉が、実は国の決まりに触れている可能性があるんだよ!?などという風には、なかなか教えていないのではないでしょうか。


勿論、何でもかんでもルール、ルールと縛られるのは窮屈に感じることもあるでしょうし、本当だったら、いじめだなんてそんな卑劣なこと、決まりになくても「人としてやるなや!」の一言で終わりにしたいところですが…。
そんな「人として」なんて抽象的(?)な言い方ではピンとこない人だってたくさんいる世の中だからこそ、「法律として定められている」という「事実」を伝えることは、とても大切なことですね。


ちなみに、私も「へー、そうなのか!」と思うことがこの本を読むととてもたくさんあるので、さらに読み込んで行って、できれば「わたる」に来る子どもたちにもトリビア的なことは教えてあげたいなと思っています。


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