小さな学習塾「わたる」~子ども達の自立と向き合う~

ADHDやLD、自閉症スペクトラム、アスペルガー等、生来より何らかの学びづらさを持つ子ども達の学習・生活支援を行う小さな学び舎「わたる」。その塾を経営するきつねが日々のことをぽつぽつ呟くブログです。

わたるで宿題

夏休みも終盤ですね。昔は8月いっぱいまでお休みでしたが、今は8月4週目から2学期の始まりというところが当たり前のようで…。(※と、書いた後にちょっと気になって調べてみたら、関西や九州地方は9月1日まで夏休みのところが多いようです。地域によって差があるのですね。)


さて、今日のブログでは、「わたる」で夏期講習したA君が「これはコピーしてホームページに載せたが方がいい」と言ってくれたものを紹介します。やらせではありません(笑)。特にホームページに載せようとも思っていないのですが、折角本人が紹介した方がいいと言ってくれたので、こちらで少しだけその一部を載せようと思います(※保護者様の許可も得ております)。


ただ、講習のメインは「それ」ではなく、目的は自由研究を完成させることでした。
「わたる」は、ご本人・保護者様のご要望に添って、それに応じた学習プログラムを当方で考え、教材を作り、行う、ということを主活動に掲げていますが、今回のように学校の宿題を終わらせたい、或いは、テスト勉強がしたい、検定試験(英検や漢検など)対策をして欲しい…といったご要望にも随時お応えしています。


つまり、今回のA君のように「夏休みの宿題を終わらせたい(=家では集中できないから&どのように取りかかれば良いか分からないから)」と、自分で学習内容を決めてきてもOKなのです。
で、メインの自由研究は決められた時間内に終わらせることができたので、A君は次に某塾の宿題もここでやりたいと言いました。本人がコピーした方がいいと言ったのはそのプリントなので、それって大丈夫?という一抹の不安から(笑)本人の書字の様子が分かる部分のみあげることにします。



……ん??
A君は計算の仕方などに特に問題はなく、これも簡単だからと自分でどんどん解いていたのですが、あれ、ちょっと待とうか?と。
え、これは何?これは…人が書いた字?
割と失礼なことをストレートに言う私に、A君爆笑。そして、いいんだよ、これで!先生は答えがあっていればいいって言っているし、これでダメって言われたこと一回もないもん!と。激しく主張してそのまま突っ走ろうとします。


しかし私のツッコミ(あくまでツッコミです。真面目な注意ではありません)にすぐさま笑うということは、A君自身もこの解答が「雑」だということは分かっているのです。A君は「字をうまく書けない」ことがコンプレックスで、だから書くことが嫌い。さすがにこのプリントは適当というか、早く終わらせたいからこうなっちゃった部分もあるけれど、丁寧に書こうとしてもできないから「雑に書こうが書くまいが、結局は一緒だ」と、そういう気持ちがあってのこれなのです。
しかし、次のプリント。



おぉ~、いい!荒ぶっていたものが消えた!
ちょっと薄くて見づらいですが、これはスキャンの影響が多少なりありまして、実物は支障なく見られます。これが「ちょっと待とうか?」の指摘後、少し書く練習をした後のものです。書く姿勢、鉛筆の持ち方、力の入れ具合を知るだけで大分変わりました。また、余り(…)と書く部分も、最初は数字の「1」のように長い棒になってしまっていましたが、横で点の打ち方を見てもらい、実際に本人が書く時、一緒に軽く手を添えて動かし方を学ぶと、A君の場合はすぐこのように改善できました。今までと違う動きを求められたことで、脳も手も疲れてしまうところはありますが、この書き方に慣れた方が後々書く負担は減っていくと思われます。


最初は嫌だ~書けないと言っていたA君が、このプリントのビフォー&アフターを並べて見比べた時は爆笑し、これはすごいと感動して「コピーした方がいい」と言ってくれたのでした。私も感動しましたが、今回はA君が素直に取り組んでくれたからこそサッとできてしまっただけであり、「わたる」の成功事例としてHPに載せるのはちょっと…ということで、こちらに記念として載せておきます(笑)。
A君の素直さは学習する上で最大の武器です。もちろん人によって到達度に差はありますが、相手の助言を聞き入れることができれば、いろいろと試せる分だけ、問題を改善する率が高まるのは疑いようがありません。


逆に失敗体験を重ね過ぎたせいで、「〝勉強なんか〟しても無駄だ」という意識が強くなってしまっている児童・生徒さんの場合、まずもってその相手の助言を聞く気持ちが萎えてしまっているため、どうしても時間がかかります。この場合、教える側がいかにその頑なになった子ども達と信頼関係を築けるか?こちらの話に耳を傾けてもらえるか?が重要になってくると思うわけですが、それらのためには、結局「粘り強く接していく」「〝おっ〟と思われるような教材を提供する」に尽きるのかなぁ…などと考えた1日でした。日々修行です。


それにしてもA君は席に長く座っていることこそできませんでしたが(笑)、半日も「わたる」に缶詰で自由研究を終わらせ、計算プリントまでやってしまったその根性は素晴らしいものがありました。A君はHP用の学習風景写真も撮らせてくれたので、それは追々HPにアップさせてもらおうと思います(私のサイト作成技術が上がったら…)。


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