小さな学習塾「わたる」~子ども達の自立と向き合う~

ADHDやLD、自閉症スペクトラム、アスペルガー等、生来より何らかの学びづらさを持つ子ども達の学習・生活支援を行う小さな学び舎「わたる」。その塾を経営するきつねが日々のことをぽつぽつ呟くブログです。

夏休みの勉強

ずっと休学していた大学院から、「来年度戻らなかったら退学だよ?」と年明け通知が来たので、今年の4月に復学しました。
もともと院へは臨床心理学の勉強をし直したいという思いと、臨床心理士の資格が欲しいという思いで入学したのですが、無事に修士を卒業&資格取得後も、何とな~く…と言ったら不謹慎ですが、やっぱり「何となく」やりきった感が芽生えずにだらだらと居残り…今に至ります。


本来なら「学校」大嫌い人間なので、目標を達成したらさっさと出て行きたいタイプのはず…が、大学というところは、私が嫌で仕方がなかった小学・中学・高校とは異なり、居心地が良いらしいです。何せ「全部」とは言わないまでも、大学では学ぶことのほとんどが自分の興味ある分野であり、それに取り組むことができるのですから。
そして成人して今さら、「勉強」って一生もので「終わり」がない、やりきった感なんてわくわけがない、という事実に気づいたのが今ココです(遅い)。


そんなわけで今の私は、勉強は結構好きなので…。「勉強?死ねー!」と憎悪を燃やす子ども達と出会うと、何とかその大いなる誤解を解きたいと強く思ってしまいます。…何やら一方で「まぁ余計なお世話かもな~」と思いつつ。別に、誰かを憎むでもなく、勉強を憎むくらいならいいじゃない?と思わないでもないのですよ。嫌なものは嫌なわけですから。現実問題、今、子ども達の目の前にあって、少なからず強要される教科学習の数々は、紛れもなく、勉強嫌いor学習困難な子にとっては苦痛なものだったりするのでしょうし。
……が!それでも、「勉強」という言葉とその意味とが、決して悪いものではないというのも、間違いのない事実なわけで…。
「これまで出会ってきた勉強」が嫌なものだったからと言って、その先入観によって、それ以外の「未だ出会ったことのない勉強」まで「どうせつまらない」「死んで欲しい」と拒否ってシャッターを閉じてしまっている状態なら―…、それはやっぱり勿体ないことだよなぁという結論に行き着きます(だから私は、自分が塾を経営しているからというのもあるのですが、つい勉強嫌いの子に対して「勉強ってそんなに悪いものじゃないよ?」と正論かまして反感を買うことも・笑)。


そんなこんなで、勉強嫌いの子について思いを馳せる時、「夏休み」というのは、学校や塾で味わうものとは「違う勉強」を経験する大きなチャンスかもしれない…と考えます。


虫捕りに明け暮れたり、プールで息つぎの練習をしてみたり。
好きな本や漫画、映画などを思う存分読んだり見たりしたり。
家族旅行、或いは日帰り遠足等で、訪れた先の名物を食べたり、その土地の歴史や風土を知ったり。そこで写真を撮るのも楽しいかも?いろいろなことができそうです。
インドア派で、家にいる時間が長い子には、家のことを手伝ってもらうのもありかもしれません。「手伝い」というと極端に逃げの姿勢を見せる子もいるかもしれませんが、「手伝い」といった言葉を使わず、何かちょっとしたことを何でもない風に頼んでみると、そのうちの一つくらいはヒットする可能性はあります。
そしてそれ即ち、全部が勉強。机上に向かわない勉強となり得ます。


先日聞いた「素敵だな~」と思ったことに、お米研ぎの話がありました。ちょっとこだわりの強い高校生君が、家での米研ぎは自分の仕事と決めていて、「研ぎ汁で白かった水が段々と透明になって」くるまで研ぎ、さらに「水道水じゃない美味しいお水で炊くと味が違う!」ことを力説してくれまして。お仕事をされている親御さんからしたら、お米を炊いておいてくれるだけでも嬉しいでしょうに、本人なりに「美味しいお米の研ぎ方・炊き方」を追究してやってくれるなんて感動ですよね。それもちょっとした拍子で始まったことらしいです、これまでは全く手伝いとかする子じゃなかったらしいのに。お母さんが疲れて寝込んでいた時にお願いしてみたら、やってくれるようになったそうです。


また、これはお手伝いの話ではありませんが、基本「動画を見ている時だけ多動が消える」というADHDの小学生君が、いつも最後までやりきれなかったアイロンビーズ(しかし何度も欲しがる・笑)を、その時は好きなキャラで取り組んだせいか、或いは簡単にできたからか?とにかく初めて完成までこぎつけたら本人も「かなりびっくり」の喜びが得られたらしく、以降その面白さにハマッて、動画という受け身的な趣味以外の、自分で黙々と取り組める趣味が1つできたのだそうです。


こういう一つ一つの経験、知識を得ていく過程全てが勉強だと思うと、学校の席に座って取り組む国語や算数は苦手だけど、体験して学ぶ〇〇や△△は好きだと思えたり、自分にもできることは結構あるということに気づけると、普段なかなか自信の持てない子ども達も大分楽になるのに…と思います。


ちなみに私自身は夏休みというと「恐竜展」が頭に浮かびます。きっと全国の博物館・科学館は毎年この時期は大忙しでしょう。私もどこか近場で恐竜展があるなら行きたいです。
あっという間の夏休みかもしれませんが、子ども達それぞれが思い出に残る楽しい時間を過ごせるといいですね。


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