小さな学習塾「わたる」~子ども達の自立と向き合う~

ADHDやLD、自閉症スペクトラム、アスペルガー等、生来より何らかの学びづらさを持つ子ども達の学習・生活支援を行う小さな学び舎「わたる」。その塾を経営するきつねが日々のことをぽつぽつ呟くブログです。

何ということもない話

SST(ソーシャルスキルトレーニング)のプログラムを考えるに当たって、自身でも常に、いわゆる「社会の常識/社会でのふるまい」というものにはアンテナを張らなければと思っているので、SST関連の文献だけでなく、一般向けの社会マナー本とか、一般常識問題集とか(笑)、少し毛色が異なるものでは、各業種の教本(?)とか、とにかくいろいろ目を通してみるのですが、昨日手に取った(新人)看護師さんのためと銘打たれたマナー本は、発行年が古かったせいか、或いは元々病院は特殊な世界なのか、「えぇ…それが常識なのか」というような、自分の感覚とは多少異なることも書いてあって面白かったです。


もともと全般的に、この手の書籍は、改めて目を通すとちょっと笑えます。


「元気な声で挨拶しよう!挨拶は人間関係の基本!」
「敬語を使いこなそう!」
「目上の人には丁寧に!目を合わせて!笑顔で!」
「分からないことを自己判断で勝手にやらない!必ず先輩に質問を!」
「自分が悪くなくても、その場では『以後気をつけます』と言おう!」(爆)


大人が読む本のはずなのに、何と言いましょうか、記載が丁寧に過ぎるからでしょうか。そ、そう思います、確かに挨拶大事、敬語大事、当たり前ですけれど、「そこから?」みたいなことが割とどの本にも書いてあったりします。
いや、実際はこんな感じではないですよ、意訳すると…ってことです。特に最後のやつはきっとどの本にも書いてあるなんてことはない、多分(笑)。
その代わり、素直に謝ろう、謝れることは大人として大事なポイント!…と言った下りは割とあるかもしれません(「ごめんなさい」ができることは、大人・子ども関係ない気もしますけれど…)。


因みに、その昨日読んだ本で「そうなの…!?」と思った主な箇所2点は、
「休暇中でも、ちょくちょく職場に電話を入れよう」
「旅行したなら、そこの名産品(お土産)を職場に買っていこう」
という部分なのですけど…。
まぁ医療従事者さんは、担当の患者さんが急変しないか心配だろうし、その患者さんを1番知っているのが自分だったら、休暇中でもちょくちょく電話はかける…のか…?と思ったのですが…。でも、チーム医療なら、その人が休んでいても別の方が内情を知っているはずだし…やはりこの本は古いのか…とぶつぶつ考えたりしました(10年以上前の本です)。


また、「土産は買っていかねばならぬ!?」の部分。私自身、旅行したら職場にお土産は買って行きますけれど、それって義務じゃないですよね。「常識」でもないというか。単に、当人の「気持ち」なんじゃないでしょうか?それをマニュアル化して、「土産は当然買うものだ!」としたら、凄く窮屈になってしまう気がします…。
そういえば先日テレビで、どこかの会社が「お土産禁止」をルール化して、社員さんが「ラクになった」とインタビューに答えているところを見ましたっけ。うーん…。まぁ「誰かに決定を委ねる=決めてもらえる」ことって、確かにラクです。
「Aさんはいつも土産を買ってくるのに、Bさんはいつも貰うだけ、ケチ!」
…などという陰口も叩かれなくて済むでしょうし…。もっとも、仮にそんなことを言う方がいるのなら、そんな貴方がどうなんですか、それはおかしい!ということを常識化してもらいたい気もします(笑)。
社会で生きるというのは、つくづく大変なことです。ましてや、発達に特性のあるお子さんが、このような集団の場に対して、いわゆる「空気を読む」ことに難渋し、その場での言動に迷って、「何と言っていいか分からない」と黙りこんでしまう、自分の意見を述べることに怯えを感じ足踏みしてしまうのは、至極当然のことのように思います。


常識って、難しい。だからこそ、これからも「法律」はもちろん、様々な媒体が謳う「常識」にも目を向け、アンテナを張り続けたいと思います。


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