ヤケクソな目立ち方
「わたる」は貸し建物の2階にあるのですが、このブログでもちょいちょい「わざわざ階段を上って、そして二度と下りて行けずにさまよう虫さん」の話を書いてきました。
が、寒くなるにつれ、そういった虫さんとの格闘(=何とか外へ出て行ってもらう作業)も終わったなぁと思っていた矢先……ブブブと言う羽音が……。何ということでしょう、いつも階段から上がってくる虫さんは教室内には入れませんが、今朝、空気の入れ換えでちょ~っと開けた窓の隙間からお入りになったようです。ピンポイントでくるね(汗)。音はすれども姿は見えず…。あぁまた暫く捜索せねばなりません。
個人的に、できることなら殺生はしたくないので、穏便に出て行ってもらうのが1番なのですが、捕まえるのはなかなか一苦労です。でも、生徒さんが来る前に見つけてお帰り願わないと、何故か授業中に出てきて騒ぐのですよ…。何故…何故、日中に出てこない!?と、思うこと数度。世の中うまくいかないものです(大げさ)。
そんなつらつらとした愚痴は置いておきまして。
「虫」「殺生」と言って思い出すのは、いつだって小学校時代のことです。
いましたよね?
そして今もいますよね?
虫を見つけたらすかさず捕まえて殺す男子が…。
「やめなよ~」「可哀想じゃん!」と渋面を作る女子たちをより騒がせようと、「ほらほら~」と掴んだ虫をわざと近づけてこようとしたり…。いた!毎年クラスに1人はいた!
これが高学年になると、「チッ、これだから男子は」「ガキが!」と冷たく吐き捨て、無視を決め込む女子がちらほら出没しますが、低学年あたりではまんまと「きゃー」「わー」と大騒ぎになること必至です。
周りが「きゃー」「わー」と騒ぐと「余計面白がってやる」……珍しくない光景ですが、昔これを「目に余るほどやる」、私よりちょっと年上の男の子が近所にいました。
仮に、B君とします。
B君は嫌われ者でした。何故なら、留守宅を狙っては、庭にいるワンちゃんに大きな石を投げつけたり、猫を蹴っ飛ばしたり。
道ばたにアリを見つければ、何度も靴で踏みつけにしたり。その大量殺人ならぬ殺アリ行為を自慢気に見せつけ、死骸を投げてきたりもする。とにかく、自分より弱い生物に対するいじめが凄まじかった。
無論、周囲はその現場を見つければ、その都度「やめなよ!」「どうしてそんな酷いことをするの?」と止めに入るのですが、それを言われるとB君は余計に「オラオラもっとやってやるぜー!」と乱暴が酷くなるので、目も当てられません。注意する子には唾とか飛ばしてくるし(爆)。
で、そのB君。「嫌われ者上等!」「ダチなんていらねーぜ!」みたいなノリなのですが、好きな女の子がおりまして。同じ近所のCさんです。B君よりいくつか年上のおしゃまなCさんは、子ども心にも「美人だなぁ」と思える際だった顔立ち、自己主張もキビキビとして、何だかカッコイイ、多分クラスでもモテていたに違いない女の子でした。
B君はそんなCさんの近くで「俺は頭がいい!」と自慢してみたり、近づいて格好つけたポーズ(?)をとってみたり。まぁ全く相手にされないのですが、「こいつ、Cさんのこと好き過ぎだろ」って誰もが分かる、小1の私ですら分かる(笑)アピールを繰り広げます。
と、いうことは!そんなCさんが、もしも「そんな風に虫を殺すのは良くないよ。やめて!」とB君に注意したとしたら、さすがのB君もやめるでのは!?と、思いませんか?
……はい、思いませんね(汗)。
そうなのです。B君は他の誰でもない、大好きなCさんに止められると余計に「悪事」を働いたのです。周りはB君に対して大分うんざりしていて、唾も飛ばされるし、「無視するのが一番だ」と思い始めていました。構わなければB君もつまらなくなってやめるだろう、そう思ったのです。それはある意味「正解」で、しかし「不正解」なところもあると、今の私は思うのですが…。
とにもかくにも、そのような周囲の冷めた空気の中、Cさんは違いました。正義感が強かったのか直情型だったのか、B君を「糾弾」し続けました。それは厳しく、時に冷たく。でも最後には大量の死骸に耐えられなくなって「もう嫌ー!」と悲鳴をあげる。
それに対して、実に嬉しそうに「へっへっへー!」とはしゃぎまくるB君。
ただ、冒頭にも書きましたが、B君は明らかやり過ぎとしても、このように「好きな子に注目してもらいたくて、わざと相手が嫌がることをする」子っていますよね。勉強やスポーツなどで活躍して目立つ!とかではなく、皆が眉をひそめる、大騒ぎするような「てっとり早くできる変なこと」を探して、それを「必死」にやる。
そんなことしたら嫌われちゃうよ?何故、ただでさえ嫌われているのに(ヲイ)、余計に嫌われるようなことをするの??…そんな行為を嬉々としてする。
当時は不思議で仕方がありませんでした。注目を浴びたいからって、何故ひどい行動を取るのかと。クラスでもスカートめくりとか、好きな子にちょっかいをかける(大体悪口)とか…そういう男子はいましたけれども。
しかし小学6年生の時、ある女の子を好きな男子君が、その子に好かれる為、「その子の前でだけ」他の子に優しくしたり、先生の手伝いをしているのを「あからさま」にするのを見かけた時…、私は「アホだな~」と思いつつも、「ちょっと可愛いな」と思ったものです。小ズルイ感じなのだけれど、少なくともこの男子君には、「人から好かれる為に必要なこと」が何かは分かっていた。他人に優しくできること、気が利いて率先して動けること…そういうことが「モテる」為には必要なのだと分かっていたから、いつもはできないけれど(笑)、好きな子の前では必死にやってみせた。
今思うと、B君には「そういうこと」が分かっていなかったのかな?と思うのです。
或いは、もうCさんに「好かれたい」とか「仲良くしたい」という方向での接近は「諦めていた」ことも考えられます。どうせ俺は嫌われ者さ、人に好かれることなんてあり得ない、だったらめちゃくちゃにしたる!それで俺の方を向かせてやるぜ!…というような。
彼の行為が、如何とも「まずい」ということをB君に教えてあげることのできる大人はいなかったのかなぁ…と思います。近所だったので、夜、B君がお母さんに暴言を吐く声、家具を壊す音などが聞こえることもしょっちゅうでした。お父さんには怖くて何も言えなかったようですが…。互いに引っ越して、B君のその後は分かりませんが、彼に何らかの良き出会いがあったことを願うばかりです。
自分だけでは、家族だけでは無理なこと、家族だからこそいっそ難しいことってありますよね。また、当時子どもだったCさんに託すのも酷な話ですが、もしも彼女の正義感が良い方に働いていたら…、もしもB君へのアプローチの仕方、適切な声のかけ方をCさんにアドバイスしてあげられる大人がいたら…、もしかするとあの状況も変わっていたのではないかなと、「今となっては」になってしまうのですが、ふっと思ったりするのです。