小さな学習塾「わたる」~子ども達の自立と向き合う~

ADHDやLD、自閉症スペクトラム、アスペルガー等、生来より何らかの学びづらさを持つ子ども達の学習・生活支援を行う小さな学び舎「わたる」。その塾を経営するきつねが日々のことをぽつぽつ呟くブログです。

喉がかれたときの話

政府から、全国の小中高校へ全校休校の要請が成されました。あくまでも要請なので、一部の県や学校ではすぐの休校措置は取らず、登校の継続を決めた所もあるようですが、ほとんどの学校はお休みに入ったようです。


2月末日の木曜夕に要請が出て、その翌日に「来週から学校は休み」となったので…。
卒業を控えた小学6年生と中高3年生には打撃が大きかったようです。
もちろん他の学年でも、小学校ではお楽しみ会など、クラス最後の思い出を作るような行事があったりするので、それがいきなり消えてガッカリしている子もいますよね。給食も突然の終了…酪農家さんや農家さんの悲鳴も聞きますね…。


一方で、学年末テストや学校そのものがなくなったことに「やったー!ラッキー!」と喜んでいる子がいるのも事実でしょう。不謹慎かもしれませんが、もし私が学生でも、学校がいきなりお休みになったら単純に喜ぶかもしれません。何せ不登校寸前の「学校大嫌い」人間でしたから。


しかし!「わたる」へ来る子どもたちに聴き取りさせてもらったところ、何と!と、言ったら失礼ですが、今回の突然の休校には、「いやだ」「つまらない」「友だちに会えないのがさみしい」といった声が圧倒的でした。みんな何ていい子なんだ…。いやいや、「ラッキー!」とはしゃぎまくっている我が甥っ子をディスっているわけではないですよ。ラッキー!と思う気持ちだってあります、子どもなら。でも、「嫌だ、寂しい!」の気持ちも、当然たくさんの子が持っているんだなぁ、と。


確かに謎の多い感染症は怖いですけれど、私のような仕事をしている者からすると、この突然失われてしまった子ども達の学ぶ機会は、友だちと過ごす貴重な経験は、一体どこで補われるのだろうか…などと考えてしまいます。学校が休みの間、外で遊べるならまだしも、外にもあまり出るなという通達ですし(そりゃそうだ…)。「夏休みと思えばいい」と言う人もいますけれど、普段の休みとはあまりにも違い過ぎます。
早く事態が収束してくれることを願うばかりです。


ところで。唐突ですが、私は喉が弱いのです。
この乾燥時期、喉をやられる方も多いと思います。で、もう10年以上前の話ではあるのですが、私も今の時期(2月くらい)に突然、声が出なくなったことがありました。
軽い風邪かな?と思いつつ、無理して働いていたのもよくなかった。
しかも毎日のように生徒を怒鳴り散らす日々。
そう、若かりし頃の私は温和な今と違い(え)、それこそしょっちゅう、悪さ―いわゆる授業妨害から素行不良的ないろいろなこと―をする生徒たちを叱りまくっておりました。


多分、そのせいもあったと思うんですけど、まぁ喉がかれたわけです。病院へ行ったら小さなポリープがわんさかできているとのことで、暫く声出しちゃダメ、働いちゃダメとお医者さん。


「え?休めるわけないですよ。休まなきゃダメって仮に先生が診断書書いてくださっても、休めるわけないと思いますよ?」


とカレ声で平然と答える私に、先生はとにかくこれを上司に渡せ!と診断書を押し付けてきたのでした。
で、結局休めなかったわけですが(……)、ここで!凄く良いことがあったのです!
何って、私は声が出せないわけですから(せいぜいささやき声のみ)、まずもって生徒を叱らなくなった!叱れないから!
そして授業は筆談!(爆)
非常に効率が悪いわけですが、当時の私はとにかく「教えたがり」が酷くて、余計な雑談情報も満載で、ムダが多かった。でも声の出ない今、そんなことはできないわけで、必要最小限の情報を必死に生徒に伝えるわけです。


するとどうでしょう、生徒たちも、「黒板見ないと分からないし、必死に耳を傾けないと聞こえない!」ということで、実に集中して授業を聴いてくれたのです。
そして何より、そんなポンコツな私を思いやってくれたのです。
耳をそばだて、例え聴きづらいと思っても責めることなく、懸命に聴き取ってくれようとする。も~大丈夫か~?なんて軽口を叩きながらも、いつもはハチャメチャな生徒もおとなしい。感動しました。


ああ、私のやり方がまずかったんだって、そのとき、本当によく分かりました。
如何に無駄なことをたくさん話していたのかって。


そして、くどくどと嫌みったらしい小言なんか言っても無駄!心から伝えたいという気持ちがあって、例えささやき声でも、静かな、落ち着いた声で話す方が百倍!子どもたちは耳を傾けてくれるんだ!と。そう、身体で実感したのです。


勿論、年をとっても怒っちゃうことはあります(笑)。そんなすぐ聖人のようにはなれませんから…。しかし、あの病気があって得られたことも確かにあって、あれは自分の、モノを教える仕事をする上での大きな転機になったと思ったのでした。


だからって病気は極力しないに越したことはないんですけどね。
そして後遺症とでも言うべきか、今でも喉は弱くて、この乾燥時期になると本当に喉を大切にしないとかれるし、空咳したくなることがあるので…今はこんな事態なのでちょっと気まずいです。まぁいつも以上に気をつけているので、今年はより健康ですが。
そんなこんなで、今日も「わたる」の塾長は静かに穏やかに、子ども達の自宅用宿題も大量に作りつつ、夜の授業に備えております。


※当方は完全個別制の学習塾であり、生徒・保護者間の接触がほぼないので、当面は開室の方針です。生徒さんやご家族が風邪気味の場合は振替授業をお願いし、講師と生徒の対面方式学習も極力避けています。


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