ふたりは ともだち
久しぶりに本の紹介です。
「ふたりは ともだち」(アーノルド・ローベル作 三木卓訳/文化出版局)。
とても有名な作品で、私自身大好きなお話ですけれど、「わたる文庫」にはまだ置いていませんでした。この夏は会員様のリクエストなども募集しつつ、本の数を増やしたのですが、これはその中の1冊です。
この本の感想は…感想と言いますか、もう「全会員様に読んでもらいたい」…これに尽きますね。心温まるにも程がある。
訳も良いのですよ~。主人公2人の話し方がイメージ通りと言いますか。
ちょっぴりナイーブながまくんと、そんながまくんのことが大好きな、純粋無垢なかえるくん。
2人のやりとりがとても良い!
がまくんが眠くて眠くて、まだ冬眠してる~!と言い張るところ、「それじゃ、それまで、ぼく さびしいよ。」とストレートに言うかえるくんとか…。ええ子や~。
あと、このシーンも好き。春がやってきたんだよ!と、がまくんを起こしに来たかえるくんが、
「ぼくたち、くさはらを とびはねながら
とおりぬけられるよ。 森を かけぬける
こともできるし、川で およぐ ことも
できるだぜ。
ばんには いま いる げんかんのまえに
いっしょに すわって おほしさまの
かずを かぞえるんだ。」
……イマドキ友だちに向かって、こんな素敵な誘い文句を言える男の子っています!??え?どの時代にもいない??いやいやいや…。
とにかく、2人の「友情っぷり」の描かれ方が素敵なのです。
未だかつて人から手紙をもらったことがないと悲嘆するがまくんに、急いで手紙を書くかえるくん…。そして2人一緒に、その手紙が届くのを幸せな気持ちで待つという有名なお話はもちろんのこと、水着姿を気にするがまくん(ちょっと可哀想)、ボタンをなくした~うぎゃ~とパニくるがまんくんに付き合うかえるくん(そしてがまくんの隠れた才能も発覚)、どの小話もにっこりしてしまうこと請け合いです。
先ほども書きましたが、日本語訳も美しく、作品全体、ゆったりとした空気が感じられる文体で描かれているところも好きです。
殺伐としたご時世だからこそ、子ども達にはこうしたポカポカとした気持ちになれる本を、じっくり時間をかけて読んでもらえたらなぁと思います。
それこそ、宿題30分する時間を返上して、この本を30分かけて読んでもらっても良い。必読の書ですね!