十五少年漂流記
他県では緊急事態宣言が解除され、我が県でも来月からは分散登校ながら学校が再開されるのでは…という流れになってきています。…が、個人的には油断禁物!まだまだ第2波・3波に備えた警戒が必要ではないかと考えています。
しかし子ども達に普段の様子を聞くと、手洗い・うがいは徹底しているとのことですし、本来は嫌いなマスクも、外出時にはきちんと着けているようで、感心しきりです。そういえば今年はインフルエンザにかかる子が少なかったと聞きました。
中には感染を気にしすぎて、「外へは一歩も出ない!」「あれ(家具等)は除菌されているのか気になる!」等、少々過剰反応かも?な声を聞いたりすることもあって、その点は心配に思うこともあるのですが、「今だけ」に関して言えば、「全く気にしな~い、学校もないし、外で遊びまくる~!」となるよりはいいのかな?と、思ったり思わなかったりしています(どっち)。
さて、家に引きこもっているのなら本を読もう!ということで、今日は本の紹介です。
本って時間の空白を埋めるためにあるものじゃないし、心の余裕がないと逆に読めないとある書評家さんが仰っていて、「確かにそうかもなぁ、もともと読書って強制されてするものじゃないし。あくまでも娯楽だし」と思い直していたのですが。そして極端な私は、それから子ども達にもあまり本を読め読め言わなくなっていたのですが(笑)。
これは例外!これはぜひ読んでもらいたいッ!!だって面白いのです!!!そして読みやすい!!!!(結局押し売りしている)
タイトルにもありますように、超有名なジュール=ベルヌの「十五少年漂流記」(講談社・青い鳥文庫)です。
私は自分が子どもの頃に日本で作られたオリジナルアニメを見てこの物語のファンになったのですが、後から原作を読んだ時にはいろいろな意味で衝撃を受けました。
アニメは放送用にいろいろ改変され、登場人物も都合よくキャラが変わっていたりして、それも衝撃のひとつではあったのですが、本を読んで何をまず思ったかって、「こんなにページ数があるのに、それを全く感じさせない」点に最も驚きました。もう本当にこれ誇張じゃないのですが、あっという間!凄く読みやすいです。いや児童文学なのだから当然と言えば当然なのでしょうが、普段、本を読むことにあまり慣れていない子でも楽しめると思うのです。でも、本に馴染みのない子は、最初この文庫本の厚さを見ただけで「読みにくそう」と手を取ること自体をやめてしまうんじゃないか…と思うのです。しかしそれは非常にもったいない!と思わざるを得ないわけです。開けば分かる(笑)。
そもそも最低でも15人もの登場人物が出てくるなんて、そのキャラクターを覚えるのだけでも大変って思いませんか(笑)?アニメならともかく。ところがどっこい(死語)、あっという間に覚えられるのですよ。まるでクラス替えした新学期、新しいクラスメイトの名前と顔を全員覚えられるかな~と多少不安に思いつつも、何だかんだで一緒に生活しているからすぐ覚えられちゃったよ!みたいなノリで、この本も、読んでいれば自然と少年たちの名前、そして個性を、同級生を覚えるように記憶していくことができます。みんなそれぞれにキャラが立っていますからね。
特に主要人物同士の勢力争いとか面白くて、大人になってから読み返してもニヤニヤします(笑)。よくグループ同士の抗争って女の子同士が大変ってイメージを持たれますけれど、男子でも変わりないよねということを教えてくれます。リアルな人間関係を見ているようです。時代が時代なので、少年たちが古くさいしゃべり方をしているところはありますが、セリフ回しが軽快なので、とにかくぽんぽん読み進められる。恐らく情景描写を最低限に削いでいるのも功を奏しているのでしょう(この作者さんの技量でしょうね、あと訳者さんの技量)。
繰り返しになりますが、とにかく読みやすい。そして面白い。タイトル通り、15人の少年たちがある無人島に漂流し、大人も誰もいない中、自分たちだけで自活生活をするというサバイバル生活が描かれています。冒険に飢えている少年少女は、この本を読むことで自らも異世界で過ごす想像をしてもらいたいです。
思えば、電子ゲームがあまり主流ではなかった頃は、こうして文字だけの世界に浸って自分でその世界観を思い描き、空想を楽しむという遊びがもっと盛んだったように思います。今は映像が主流で、すぐさまその情景が見えてしまう。それはそれで楽しいし、わくわく感もあるのは間違いないのですが、何もないところから自分の頭の中で世界を作り上げる作業にも時間を割り振ってあげて欲しいな、時々でいいから…と思いますね。
ちなみに、本がどうしても苦手な子のためにも、私が永久保存版で録画し直すためにも(笑)、是非今こそ!この自粛生活中に!あのアニメ「十五少年漂流記」を地上波で流してもらいたい…と、ここで意味なくこっそり主張しておきます。
お約束ではありますが、私はみんなの嫌われ者、でも本当は心優しいドノバン(原作ではドニファン)の大ファンだったのです。昔からブリアンのような優等生タイプよりも、ちょっと不器用で誤解されるキャラクターに思い入れるタイプだったようです。